男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

パンダコパンダ&パンダコパンダ雨ふりサーカス [DVD]

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言わずと知れた傑作ですが、DVDには宮崎駿高畑勲の対談、高畑勲パンダコパンダを語るインタビューが収録されています。宮崎駿との対談はいつもどおりの展開で新鮮味は無いのですが、高畑勲パンダコパンダについて語るインタビューは尺も長く内容も充実していて良かったです。宮崎駿の膨大なレイアウトなども置いてあったりして資料的価値も充分です。

一作目の驚天動地のクライマックスである”遊園地に出勤することになったパパンダがタイムカードを押して電車に揺られて帰ってくる”大団円について高畑勲がキチンと言及している点が非常に興味深かったです。

要約すると

「そこまでの展開をキチンと作っていれば、観客は必ず大団円を期待する状態になっているので、その過程などに疑問を感じたとしても温かく受け入れる」

結果として成功している点についても、

「当時の業界の中ではそういった展開に疑問を持っている人たちが多かったのですが、自分達はこれで大丈夫という確信があったので、実際に子供たちが集中して楽しんでいる姿を見て安心した」

とも。

アルプスの少女ハイジ』に通じる生活描写だけでも成り立つという図式を実際に成功してみせた点で大きな意味を持つ作品なのですが、一方「大団円を期待させる」に足る展開という点についても重要で、見直すと分かるのですが、この映画ときたら一見児童アニメ風な雰囲気を匂わせながら、実際には宮崎駿特有のぶっ飛んだギャグがてんこ盛りなので、それを抜きにしてしまうとやはり成功には結びつかなかったのではないかとも思うのです。少なくとも今観ても全く面白さが褪せないのはそこらあたりの宮崎駿高畑勲の持つ独自のパワーに拠っているはずです。したがって、業界の人たちが言っていることは恐らく間違ってはいなくて、あの二人がやったから成功しているんだと思うのです。

例えば、竹やぶに異常な執着を見せつけるパパンダの登場シークエンスでは、それを「??」顔で流すミミちゃんのカットバック辺りに確信犯的なレベルの高いギャグが垣間見えますし、続く「パパがママになるのは難しいが、パパがお父さんになるのは簡単です。何故なら既にパパだからです」という展開辺りは、普通に「子供だましでいいだろう」というスタンスでは絶対出てこない爆笑ブリ。

個人的にはミミちゃんがコパンダと初めて出会うシークエンスで、殆ど数秒のコンタクトで

「わたしたちともだちになれるわね」

と、ハイジにも通じる異常な強制口調で言い切る辺りで既に爆笑なのですが、この一連の出会いのシークエンスはとにかく面白ポイントが多すぎて、やっぱり宮崎駿の功績が大きいなと思うわけです。