男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

13日の金曜日

13日の金曜日 特別版 [DVD]

フィルムで観たことが無いのですが、テレビなどで何度も観ていた画質とは桁違いの高画質(と言ってもハイビジョンとしては中程度ですが)。舞台のクリスタル湖や森といった自然の描写が実にしっとりと再現されています。ただメインのシークエンスは夜になってからなので、殆ど潰れてしまって厳しいと言わざるを得ません。

この映画はその後のジェイソン編とは違って、犯人が誰かわからないのが肝であり、それに則った主観撮影のサスペンスが重要な演出になっています。殺される側が普通に接しているので普通の人間なのだろうと言うところから、誰が殺人鬼なのか結構わからない。ちゃんとミスディレクションとして変人のおじいさんを登場させたりしているし。

クライマックスに死体が次々とヒロインの前に現れてショックを畳み掛ける手法は、勿論カーペンターの「(asin:B00005R23D:title」からのモロパクリなんですが、あちらがマイケルの死体を弄ぶ幼児性をあらわしているのに対して、こっちはただのお化け屋敷演出に成り下がっているのが残念です。

一方、トム・サヴィーニが参加した特殊メイクによって、殺人シーンのレパートリーが見せ場となっているのがポイントで、特にケビン・ベーコンの殺されるくだりの演出は白眉。タバコの火をつけるために身体を起こして、ベッドに仕掛けのない事をさりげなく観客に開陳させるあたりもかなり計算高く、二段ベッドの上から血が一滴垂れて、観客の注意がそちらに逸れた一瞬を突いた見事なタイミングでベッドの下から手が現れてベーコンの頭を押さえつけるところは最高です。その後の見事なカッティングで首からモリが突き抜ける殺し方のショッキングさと生理的な痛さもかなりのモノだと思います。他の殺し方は省略したりしていささかアイデアに欠けるのですが…

リー・マンフレディーニの有名な「キルキルキル…マムマムマム……」の音楽は5割り増しぐらいこの映画の恐怖に貢献していると思いますが、ヒロインが追い詰められ始めてからのクライマックスでも、ピアノの反復は(やはりカーペンターの「ハロウィン」からの影響があるにしろ)盛り上がります。

有名なラストのジェイソン登場も引き画からズームになっていく効果と、飛び出すタイミングが素晴らしく、子供の頃にテレビで放送された次の日の話題を独占しまっくたのは今でも納得がいきます。