男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ゲーム・オブ・ザ・デッド

ゾンビ・ファン大注目のゲームが製作開始。

HIDE from the DEAD

ボクの個人的な考え方では、ゾンビ映画(主にロメロ作品)をモチーフにした世界観の魅力はその終末観とゾンビから逃れる緊張感にあると思っています。ゾンビを撃ち殺したりやっつけたりして状況を突破する面白さは様々なゲームのモチーフになっていますが、ボクの好きな、人類が滅びると言う終末観と、武器を持たない民間人が篭城及びゾンビに見つからないように逃げ惑う悪夢のような緊張感がゲームとして再現されたものを見たことがありませんでした。

このゲームではプレイヤーのキャラクターは一切ゾンビに対しての攻撃手段を持っていない。そもそもこのゲームのゾンビはある意味画期的なことに殺せない。行動停止になっても更に凶暴なゾンビとなって再び襲ってくる。頭を銃で撃っても死なないタイプも存在する。なので数少ないとは言え存在する銃器も対ゾンビとしては有効なアイテムとはならず、閉まったドアを強制的に開けたり、ゾンビの足を破壊して進行を食い止めるなどといった対処しかできない。しかし、それによって銃声で更にゾンビが集まることになったり、ドアは再度閉めたりといった防御手段が困難になる。以上のようにデメリットの方が多いアイテムと化している。

プレイヤーの可能なアクションは大きく分けて「隠れる」事と「防ぐ」事、そして「逃げる」事だけ。

そして登場する敵はゾンビだけ。遺伝子改造の強化型だの、軍事目的で開発された改造型だのは一切登場しない。*1

ゾンビにはマニアも唸るような様々なタイプが用意されている。

  • 頭を撃つと行動を停止するロメロ型ゾンビ
  • 亜熱帯エリアで主に登場するフラフラ横揺れする極端に移動速度の遅いフルチ型ゾンビ
  • 頭を撃っても死なないどころか人間の全速力状態を維持し続ける行動力を持つオバノン型ゾンビ(しかも、片言の言葉を喋る)

などなど。
頭を撃つと行動を停止するロメロ型ゾンビは一定時間を経ると再び蘇って異常な移動速度を持ったザック型ゾンビになるので安直に殺す解決策も取れない*2

更にゾンビにはそれぞれ

  • 「視覚認識」
  • 「聴覚認識」
  • 「嗅覚認識」

などの感知能力の違いがあり、複数備えるタイプのゾンビも存在するようだ。後述するように時間の概念があるので、「視覚認識」タイプのゾンビが多くいるエリアで行動する場合は夜が有利になる場合もあるはずだ。「嗅覚認識」タイプを相手にする場合には消臭剤などのアイテムが有効だし、「聴覚認識」タイプを相手にする場合に革靴を履いていると不利になるなど、ゾンビのタイプにあわせて様々な服装及びアイテムの選択で有利不利があるようだ。

ゲームはスタンダードな三人称タイプのカメラビュータイプと、一人称視点のFPSタイプに切り替えが可能なようだ。

新たに開発された「ゾンビング・エンジン」は、次世代機で採用されるHD環境にも充分対応できる描画力と、何よりも「harf-life2」に採用されたグラフィック・エンジンを上回る物理演算能力も備えているようで、画面内のオブジェクトは全て現実に則した移動及び破壊が可能となっている。また先に述べたように時間の概念が存在し、夜になると真の闇がゲーム内の世界に訪れる。光源アイテムを持っていない場合は手の先も見えないような闇が支配する。このため影生成で用いられるステンシルシャドウ処理にも専用の技術が用いられる。ゾンビの徘徊する真夜中の世界で極限の恐怖を体験できることになるだろう。

加えて「ゾンビング・サウンド*3では5.1chでのリアル・タイム処理が前提で、システム面をそろえることでDD+及びDTS-HDでの再生も可能なダウンロード・パッチも用意するようだ。それによって最大13.1chでのサラウンド効果を得ることが出来る。このように音声によるスペックにも最大限の配慮がなされている点からも、サウンド・デザインに相当の気を配っているようで、ハリウッドでの第一人者スカイウォーカー・サウンド(ルーカスデジタル社)のクリエイティブ・オペレーション・ディレクター、ゲイリー・ライドストロームがスーパバイザーとして参加しているのも見逃せない。*4しかも、驚くべきことにこのゲームにはいわゆるBGMが存在しない。壊れたテレビからの音声や断続的に聴こえてくるラジオからの音楽というような類以外の音楽は一切かからない。環境音楽だけによる喧騒や静寂が従来のゲームとは一線を画する緊張感を生み出しているようだ。プレイヤーからゾンビを察知する際にもサウンドが重要な要素になるはずなので、5.1chまたは7.1chなどの音声トラックは全てプレイヤーに対しての音声情報として利用される事になる。

スクリーンショットから判断すると、階段などの高低差にゾンビは弱いようで、そこでの移動速度の低下を利用した逃走手段も考えられそうなので、マップの把握も重要な攻略法になるはずだ。

製作チームのポリシーとして掲げられているのは

「No refresh,Need flesh」「More gore,Want tense」

の二つであることからも、緊張感と残酷描写が支配する真のホラー・ゲームが誕生しそうだ。


このゲームは名作「The Thief」を彷彿とする点が多いようで、正統的な「ステルス・ゲーム」をゾンビ・ゲームに採用していることが最大の勝因であり、上記のボクが望んでいる要素を充分に堪能させてくれるゲームのようです。

ミッションの数も相当数用意されているようですし、当然「ナイト・オブ…」の一軒家や、「死霊のえじき」の地下坑道を改造した軍の基地、「サンゲリア」で登場する南海の孤島、そして当然のように「ゾンビ」のショッピング・モールなども完全に再現されたエリアなども存在しているようです(しかも、「ドーン・オブ・ザ・デッド」のロス・モールも別に存在する念の入れよう)。

マルチプラットホームでの展開を想定しているようですので、次世代機やPCでのプレイが前提になっており、HD及び5.1chでの演出なども重要になっているはずです。

さらにオンラインでのプレイも考えられており、その場合はパーティーでのプレイとなるようなので、「ゾンビ」でロジャーとピーターがみせたような一階でゾンビをおびき寄せて二階から脱出するというチームプレイも期待できそうです。

*1:ただし、死体から蘇ったオリジナル・タイプと、オリジナルに襲われてからゾンビ化した人間とでは若干パラメーターに違いがあるようです。

*2:リメイク版「bio hazard」のクリムゾン・ゾンビに似ている。

*3:死霊のえじき」公開の際にただのモノラルの音声を配給会社が名付けたこれ以上ないケレン味あふれるネーミング。ちなみにDVD化の際にリミックスされた5.1chにはゾンビング・サウンドの呼称は使われなかった。残念。

*4:ホラー映画での仕事は無かったと思いますが、「プライベート・ライアン」での壮絶な仕事もありますし、第一文字通り当代随一のサウンデオ・デザイナーなので最高のサウンド・デザインを披露してくれるでしょう。