男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

また宇宙戦争

連日宇宙戦争の事でアレなんですが。


<ネタバレあり>


虐殺開始のシークエンスで物凄かったのが、いよいよトライポッドが殺人ビームを使用し始めてから、トムが何とか生き延びて呆然と見送るまでが恐ろしいことに3ショットで処理してあることです。

具体的には途中で非常に巧妙に別のテイクになっていたり、VFXで処理したショットが挟まったりしているのですが、観客に対しての効果は3ショットの長回しの組み合わせで処理されています。

カットが変わらないと観客は息継ぎを(瞬きと言うべきかも)することが出来ないような錯覚に陥るので、トライポッド虐殺の臨場感をトムとほぼ同一の立場に立って体感できるような効果を生んでいます。映像のインスピレーションは間違いなく9/11で我々が実況で体験したあのビル崩壊から逃げるテレビカメラクルーの映像だと思います。崩壊を始めてから粉塵が襲ってくるまでを1カットで撮り続けた(当たり前ですが)テレビクルーと「逃げて逃げて!!」と必死にマイクに絶叫して走るアナウンサーの映像は脳裏に焼きついています。*1

特に白眉なのは3ショット目で、トムの前を走る女性のアップから始まり、その女性が粉々になって屍塵をトムが浴びて走りぬけ、ブティックの扉を開けて飛び込むが、トムの周りの2人が次々と粉砕!(トムが押しのけようとした女性が吹っ飛ぶイフェクトと芝居が完璧なリンク!どうやってんだあれ)そこにすかさず車が突っ込んできてトムがギリギリでそれをかわして店の外へ駆け出す。(さすがに普通ここでカットが変わると思わせて)そのままトムが必死に走る背後からビームが掃射。トムの背後の建物が次々と粉々に薙ぎ払われていく。命からがら走るトムからカメラがパンして横の建物が吹っ飛び、カメラがトムに戻って建物の陰に隠れると、アオリのままトム越しに巨大なトライポッドが歩いていくのを見送る。子供を抱えた被災者がトムの横を駆け抜けてそれを茫然自失で見送るトム。

ここまで1ショット!!

プライベート・ライアン」のノルマンディ上陸作戦では、当時の従軍カメラマンたちが捉えたようなカットを積み重ねて迫真の臨場感を再現していましたが、やはりここでは9/11のビル崩壊の模様を演出の基礎としているようですね。不謹慎とは思いつつ、物を作り出す人間なら誰しもあれにはインスピレーションを受けているものですね。

*1:スピルバーグの「いいアイデア」はこっちか?