男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ショーン・オブ・ザ・デッド [DVD]★★★1/2

去年は近年にない久しぶりのゾンビ映画ブームだったわけで、劇場公開やDVDでも色々な作品が発表されましたが、この「ショーン・オブ・ザ・デッド」はパロディ映画として作成されつつも、ロメロに絶賛されたりして前評判がすごくよかった作品です。

劇場公開はされませんでしたが、DVDでリリースされたのも「ドーン・オブ・ザ・デッド」と同じユニバーサルの映画だったからなのでメジャーってのはやっぱり凄いよなあと思いました。

とまれ、早速観たのですが、これがビックリ仰天するぐらい面白くて、ボクの中でゾンビ映画に必要な「明るい」部分が凝縮されている作品でした。

「明るい」部分というのは、世界が滅亡した(滅亡に瀕した)ような状態のなかで、本編でも台詞にあったのですが「遠足にきているようだ」という感覚がそれです。日常の生活が崩れることで絶望とは裏腹にどこかわくわくしたような感覚が全てのゾンビ映画の頂点であるロメロの「ゾンビ」にはたっぷりと充満しているわけです。残念ながらリメイクの「ドーン・オブ・ザ・デッド」にはその感覚は省かれてしまっているわけで、それが凄く残念だったのですが、その代わりの様にこちらの「ショーン・オブ・ザ・デッド」はパロディという体裁を利用してたっぷりとそちらの魅力をつめているように感じられるのです。

ダメ人間のショーンが非常事態を機にリーダーとしての責任に目覚めたりするあたりは感動すら覚えます。

ゾンビ映画をパロディにしている部分でも、作り手のゾンビ映画に対する愛情が充満していて素晴らしく、絶妙に挿入されるゴブリンの音楽も爆笑必死*1
パロディといえども、ゾンビに対する描写はかなり巧くて*2、窓ガラス越しに迫ってくるゾンビのシルエット処理や、早朝にショーンが家を出て近所のお店に買い物に行くくだりの1カット処理で世界の前後を対比するあたりはかなり素晴らしい演出が炸裂しています。スプラッター描写も容赦ないですし。*3

ともあれ、ゾンビ映画好きには必見なのは勿論として、日常の中の非日常映画が好きな人も楽しめると思います。

*1:大体冒頭のユニバーサルのロゴに流されているだけでも、リメイク版に対する挑戦的な態度が伺えて最高です。

*2:友達が「ゾンビ」と言う場面で、ショーンが「それを言うな」と怒る部分も最高です。ロメロ版ゾンビはゾンビのことを「奴ら」とか表現します。

*3:死霊のえじき」のローズの八つ裂きをキチンと再現するあたりが凄い。