サンダーボルト
マイケル・チミノのデビュー作です。
当時脚本家だったチミノは、イーストウッドの「ダーティハリー2」にジョン・ミリアスと一緒に起用された際に大層気に入られたそうで、いきなり監督を任されているわけですね。
子供の頃大好きだった映画なんですが、当時と同じ吹き替えでテレビ東京が放送してくれました。(冒頭とラストがシネスコサイズになっているので、映像は別のマスターかもしれません)
主題歌が凄くいいんですよ。
原題は「サンダーボルトとライトフット」。イーストウッド演じるサンダーボルト(かっちょいい名前だ)と、ジェフ・ブリッジス演じるライトフット(これまたかっこいい)という青年の、奇妙な友情を描いたこの話にぴったりのタイトルですね。
あらすじは銀行強盗の一味だったサンダーボルトは、かつての強盗のお金を巡ったいざこざを逃れて牧師に化けていたが、かつての一味が襲ってくる。そこでライトフットと偶然知り合って逃避行をちょっとするんだけど、すぐにその一味と和解(?)して、また銀行強盗をするという話です。
ただ、それはただのあらすじで、映画の主題はまったく別。チミノはアメリカの田舎を舞台にして、銀行強盗一味のどこかノーテンキな生活を交えながら、サンダーボルトとライトフットという世代を超えた奇妙な友情話を描いていきます。
この二人のなんとなく一緒にいて、離れがたいという雰囲気が凄くいいんですよ。
銀行強盗が成功したら、金を分け合って解散という話をイーストウッドがする場面も、ライトフット演じるジェフ・ブリッジスがさびしそうな表情を見せるのがよくて。
銀行強盗の軍資金を作るために、みんなで一所懸命働くくだりは最高で、なんか売れないバンドの生活を見ているような感じです。しかも、連中はみんな中年真っ盛りなのもよいです。
この作品は、ジェフ・ブリッジス演じるライトフットのキャラクターに尽きるのかもしれませんが、作品の中では生い立ちも何もまったく語られないところがクールです。佐々木功の吹き替えもバッチリいい感じで、山田イーストウッドとのコンビが楽しめます。
ジョージ・ケネディのキャラもよくて、みんなが働いているのに自分は文句ばっかり言って働かなかったり。いるいるこういうやつという感じです。
最後もジーンと来る終わり方で、いい映画です。