マグノリア★★★1/2
ポール・トーマス・アンダーソンをさかのぼる。
「パンチドランク・ラブ」が思いのほか気に入ってしまったので、久しぶりに観直す。
いくつもの筋書きを同じ一日同じ場所で交錯させて描く構成だが、基本的には一本の筋書きのエレメントをそれぞれの筋書きに分散させているので、根本的には一本の映画として何の衒いもなく作られている。そして、その大筋とその描き方がエモーショナルな仕掛けによって組み立てられているので、スムーズに感動できる。
「ご都合主義」的なドラマツルギーを、「偶然」の積み重ねというメタ的手法でスマートに完成させたシナリオは素晴らしい。(ただ、クイズ番組の司会者がどうなったのかが宙ぶらりんのような気がする…)
ジョン・ブライオンのインストも秀逸で、シーンのブリッジを昂揚させたり感動させたりで、映画音楽の特殊な側面を支えている。
クライマックスの「どしゃぶり」は、始まり方が素晴らしいのと、サウンド・イフェクトが凄いです。