男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

8マイル★★★

ジーンと感動する話

凄く大人のシナリオだ。

主人公ジミー(エミネム)の立身出世モノだと思っていたのだが、実際はもっと地に足のついた、だからこそ極めてリアルな主張に溢れたドラマティックな映画だった。

端的に現れているのがジミーが働く自動車工場でのシークエンス。大人と子供の違いは、具体的に云うと「仕事」をしているかどうかだが、この映画ではその「仕事」に対して「責任」を持っているかどうかを提示する。

例えばジミーは自動車のエンジンがかからなくて遅刻する。責任者に「遅刻したな」と言われて「言い訳」をする。これは子供だ。なぜならそれは「仕事」には関係が無いからだ。なので、ジミーの成長を表現する際に、「言い訳」をしかけてやめるシーンが実に効果的である。ジミーは一言「二度としない」。良いシーンだ。

こういった具合に、全体的にジミーの置かれた世界をリアリティたっぷりに描写するので、「ロッキー」と同様のカタルシスが終盤のラップ・バトルで味わえる。

で、全編に展開するラップ・シーンは非常に熱い。

文字通り喧嘩=戦いの代わりにやるわけだから、熱くて当たり前だ。

そして、クライマックスへの持って行きかたも、先の前提で非常に「責任感」のある展開なので、ジミーへの共感が実に「大人」としての共感を産む。僕としては珍しい共感の仕方だった。

クライマックスのラップ・バトルは段階的に盛り上がって、思わず身体がタテノリになること必至。かっちょいい!

エミネムは非常に説得力があり(当たり前か)、童顔も含めて申し合わせたようなキャスティングだ。

名曲「lose yourself」は、かかるだけで盛り上がる。ラストの潔さもこの映画に相応しく、カーティス・ハンソンやるなあという感じ。

物語の性質上、ジミーの周りの小さな世界に絞られているので、結構地味なのだが、それはこの映画の目指している部分だと思うのでOKだ。

さあ! 明日から帽子かぶってダブダブ服を着てノリノリで行くぞお。