リング Hi-Bit Edition★★★1/2
最近流行の高画質DTSシリーズ。
特典などを一切排除して、映像と音をDVDの容量をフルに使いきって入れましょうというシリーズ。
最初から二枚組みにして本編をこれにして、特典を二枚目に収録すればいいような気もするが、そこは商売の難しいところなんでしょうなあ。
以前のDVDはドルビーデジタルとして5.1ch化がなされていたものの、お世辞にも画質がいいとは言えない代物だったので再購入。
DTS-ESの効果はある意味あからさまな感じもするが、もともとのサウンド・デザインが「恐怖空間」の創造に眼目が置かれているので、DTS-ESの重圧な音空間は適している(ような気がする)。
画質はさすがに文句無く高画質で、電話の色やジュースの色など、結構新鮮な驚きがある。
ただ、元々焼きが暗い映画なだけに、明るく見えるわけではなく、逆に暗部のディティールの再現がしっかりしているという感じ。
映画自体は今更云うまでもないが、日本恐怖映画の新たな一ページを開いた記念碑的な傑作。
長編が構造的に不向きな「恐怖映画」に、「謎解き」の要因を入れることで観客の興味を継続させることに成功している。しかも、謎解きの構造がそのまま「ゾっ」とする恐怖に直結している点もお見事。
中でも好きなのは、「呪いのビデオ」を調べるシーン。何気なくジョグ・シャトルで逆回しにした際の音に、「何かの囁き」が混ざっているのが分かる所。ここの「逆回しにしたら声が入っている」→その声が「逆回しの不明瞭でスローなこもり声」で聞こえるところが怖い。しかも、「しょーもん……ぼうこんがくるぞぉぉ……」と言う方言による意味不明感と音の響きが不愉快極まる点も素晴らしい。
このアイデアは震えが来るほど怖くて見事だ。
高橋洋の原作からの変更がモノの見事に功を奏している脚本と、中田秀夫の「何かが憑いた」としか思えない演出の冴えが素晴らしい。
何気ないショットが、やけに不気味なのがそこら辺を象徴している。
勿論「小中理論」(心霊写真テイストをフィクションに取り入れる演出方法)を最大限に活用した恐怖演出も凄まじいハマり方。
追記:ツタヤでレンタルが始まったDVDは先の旧盤なのでご注意を。ただ、そちらが楽しめないと言う事はまるで無く、味わえる怖さに差はない。