上泉伊勢守秀綱（後に信綱）の半生記。
下巻の中盤まで繰り広げられる、バラエティに富んだ攻城戦の数々が燃えるの燃えないのって。
上泉の弟子である於富（おとみ）が追っ手に向かってただ一人立ち向かうくだりや、上泉の参戦した武田軍との戦いも凄いテンション。
上泉が隠居してから諸国を廻る終盤は、例の「バガボンド」でも描かれた、柳生但馬守たちとの出会いがあったりしてこれまた楽しめる。
主人公の上泉の考え方や、周りの人間たちとの関わりが、さすが池波先生の筆だなあと。健やかで心が洗われるような気になる（あくまでも気だけだが）。
しかし、謎の部分も多いようで、かなり「使える」人物である点も興味深い上泉伊勢守秀綱でした。
