男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

夢の温度

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近所の本屋さんで一巻である「冬」の見本があったので読んだところ、これがガッチリとツボを突かれてしまった。

ある田舎の中学生女子の竹田はると、その兄で高校生のあきの恋愛を単行本単位で、主観をそれぞれにおいて描く恋愛漫画

はるは兄のあきに心惹かれながらも、「2番目でもいいから」という典型的な「やさしい」同級生から告白されて微妙な距離をおきながらも徐々に付き合いを深めていく。

兄のあきは担任の教師との恋愛が描かれる。

はるとあきの兄弟は、外見が良いんだが自分を外に見せることにあまり興味が無いので、傍からは「ナニ考えてるかわからない」といわれつつ、それも惹かれる要因になっているタイプ。

この手のタイプの描写が実に巧いうえに説得力がある。加えて普通は描かれない内面描写も妹のはるに関しては丁寧に描写されていて感情移入させることに成功している。
作者が女性だからなのか、兄のあきは定石どおり内面描写がない。その分そちらの軸では相手の担任教師の内面描写が丁寧に描かれる。

加えて兄の高校、妹の中学、ともに周りの人間の細かい恋愛ネタも多く描かれる。が、これらの恋愛は、主役二人の恋愛がロマンチックでファンタジックと言ってもいいほど「都合の良い」流れなのに反して、リアリティ溢れる流れで描かれる。
読み手としては、周りのやりきれない恋愛の描写に共感することで感情移入し、主役兄妹の夢に描くような恋愛に憧れる。

現実逃避というと言葉は悪いが、こういった漫画はそういう作用をもたらすので非常に心地良い漫画だ。

追記:セックスのさいに服を脱いだりする描写がある種間の抜けた感覚で挿入される。それが素晴らしく南Q太の持ち味が発揮されていて面白い。