男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

60周年リマスター版『ゴジラ』を観ました。

有楽町で観るゴジラの快楽

ハリウッド版ゴジラ公開を控え、元祖の『ゴジラ』が60周年記念ということでリマスター公開となりました。(ということは『七人の侍』も60周年だと思うんですが、50周年でもこれといって何もしなかった東宝なんで、今年も特に何もしないんでしょうw)

今回4Kリマスターと聞いて、ふと「ということは4K上映に対応しているスクリーンで観たいよな」と思ったんですね。調べてみるとサイトなどで4Kをキチンと公表している劇場が恐ろしく少ないんですよね。

「とっくに対応しているし、別におおっぴらにすることでもないでしょ」というのなら問題ないんですが、意外と2Kでの上映が多いのも事実なんですよねえ。ソースがどうなっているのかもいまいちハッキリしていないし。

一昔前なら70ミリ上映!とかなんとかはデカデカと宣伝に使われていたようなんですが、4K!!ってのはそんなに訴求力ないんでしょうねえ。なんか3Kみたいだしw

という自分自身も実際に4Kをこれまでそれほど意識していたわけでもないのですが、最近ちょこちょことデジタル上映での「ドット感」とかが気になりはしていたんです。

閑話休題

で、じゃあ、ゴジラはどこの劇場だと4Kでの上映なんだろうとちょっと調べてみたんですが、どうやら有楽町のシャンテシネは4Kでの上映設備がありそうだってので、一路行ってまいりました有楽町へ。


・・・


2Kと並べて観たわけではないのです自信はないんですが、先述のドット感などは微塵も感じられない品質の良い上映だったと思います。リマスタリング東宝のブルーレイ同様のフィルムの質感を大事にした雰囲気ですので、実はこっそり注文中のクライテリオン版ブルーレイとの比較が楽しみです。黒澤の『羅生門』のリマスターのような衝撃はないのであしからず。

まあ、でも、あれですよ。映画が始まってしまうと、そんなことあれこれ考えている場合じゃないんですよ。面白すぎてw


何十回と観ている映画なので、次にどのカットがくるかとか分かっていても、それがスクリーンで観ると全然違うんですよねえ。

海から現れるゴジラや、上陸時の足元を逃げ惑う人々ナメの構図などなど、どれもこれも非常に恐ろしい。超巨大な怪獣が襲ってくるという圧倒的な恐怖が、凶悪な演出力で描写されるのを、ただただ唖然と見つめるのみです。

しかも、嬉しい事に、ゴジラの東京上陸では、なんと有楽町が蹂躙されるわけで、たまたまとはいえ60年後の同じ場所でそれを観ているというトリップ感は最高でした。景色は変わったとはいえ、銀座の標識や百貨店などなどが素晴らしいミニチュアワークでむちゃくちゃにされているのは、得も言われぬ興奮でしたね。


伊福部昭の音楽もやはり最高で、有名なテーマやマーチも勿論なんですが、中盤のサスペンスフルな音楽や、ラストのレクイエムなども非常に質が高く感動を喚起されます。

そして、映画の登場人物の中でも十本の指に入るほど大好きな芹沢博士。何度観てもどうして恵美子に実験を見せるのかは理解できないけどw やはり人間の作った兵器によって強烈なしっぺ返しを食らっている大惨事の中、それでも「科学者として、いや一人の人間として許す事が出来ない」とオキシジェン・デストロイヤーの使用を拒む気高さと、音楽の力によって自分の命と引き換えに全人類のために使用を決断する自己犠牲の精神には常に涙を禁じ得ない。ゴジラの凄いのは本当に「全人類」の運命が彼にかかっているところが凄いんですよねえ。あの頭抱えて苦悶するシーンなんか本当にたまりませんよ。


「幸福に暮らせよ!」


しかも本当は愛している(はず)の恵美子と、その今カレに対してこれを言ってのけるんですからね。今際の際に!!


まあ、一人の人間として、これは緒方に対してというよりも「人類」に対して「幸福に暮らさないと承知せんぞ!」と言っているようにも聞こえますが。


とにかく傑作なんて言葉ではくくれない日本映画の至宝ですな。



クライテリオンのブルーレイも楽しみです。