男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

プログラム41『リンカーン』★★★1/2

「Now! Now! Now!!!!」

いやあ、面白かったです!!

スピルバーグなんてボクの人生の中でも最重要人物なんですが、最近はなんか劇場に行かなかったりするんですよねえ。

今回の『リンカーン』なんてシネスコだし、予告の段階から面白そうだったのにねえ。

せめてホームシアターで観ることぐらいしか罪滅ぼしできないのですが、一ヶ月ぶりにプロジェクターの電源を入れましたよw

最近ゲームばっかりやってますが、やっぱりシネスコの映画をホームシアターで観るってのは気分が大変よろしい。

しかも、面白い映画ならなおさらです。

この映画『リンカーン』なんて御大層なタイトルなので、一大伝記映画みたいなのを想像させますが、さすがスピルバーグはそんな「スピルバーグが撮る必要のない映画」は撮りませんよ。

有名なゲティスバーグ演説ですら冒頭で大変うまく処理してみせますし、メインプロットはアメリカ合衆国憲法修正第13条を通すための政治劇になっています。これがもう大変面白い。退屈だという意見もあるようなんですが、ボクにはどこが退屈なのかさっぱり分かりません。

デヴィッド・ストラザーントミー・リー・ジョーンズハル・ホルブルックジェームズ・スペイダーなどなどの、見ているだけでヨダレがでるような顔面が勢ぞろいという贅沢な映画でもあります。

そして、主演のダニエル・デイ=ルイスね。リンカーン本人なんて全然知りませんし、個人的には『若き日のリンカン』のイメージしかないですから、ヘンリー・フォンダ同様スラっと背の高い雰囲気ってことぐらいの知識ですよ。

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なのにまあ、この魅力的なことよ。ごはんを食べるシーンがなくてもこれだけ魅力的に役作りできるのかよと驚かされます。

歩き方とか、落ちたものを拾う仕草とかね。

あと、ユーモアを交えながらの話術。これはシナリオの功績でもあるんですけど、段々と聞いている人を引き付けつつ、緩急をつけた説得力はやはりダニエル・デイ=ルイスのすごさですよね。観ている方も引きこまれますもん。そして、「あんな風にうまく話てええ」と思わせてくれます。これぞ上手い芝居の絶対条件。

特に諦めムードが漂っている部下たちを焚きつける、予告でもおなじみの「Now! Now! Now!!!!」ね。あそこ最高。

予告観ているだけに、段々とカメラが寄っていくあたりから、キタキタ感が強烈。あそこだけ30分ぐらいリピートして観ていたいぐらい。

あと、これも予告であった、通信技師のふたりと話すシーンも抜群で、技師のふたりも完璧な芝居を見せてくれる(リンカーンの話を聞く表情や、リンカーンが部屋を去る時の反応を違いなどなど)。

ヤヌス・カミンスキーの撮影なんて色んな所でかなり神がかっていて、序盤の黒人兵士が話をしてから立ち去るのを捉えつつ、リンカーンの顔に移るショットとか異常。

スピルバーグタッチとしても、野戦病院の一輪台車のアレとか相変わらずブリ。ほんとスピルバーグって「脚」が好きなw

7.1ch収録のサウンドもやたらと現実音の解像度が高く、聴いたこともないような環境音が色々と聞こえてくるのですごいなあと思っていたら、ベン・バートとゲイリー・ライドストロームの最強コンビでしたよ。むううう。

やっぱり劇場で観ておけばよかったと後悔……


お勧めです。