『風立ちぬ』★★★1/2
久しぶりに堪能
「子供向けに」とか「子供のために」とか、なんだかモヤモヤしたことばかり言っていた宮崎駿が、やっと「誰かのために映画を作るんじゃない」ってことを思い出した快作。
危惧していた庵野秀明の声もすんごくしっくりきて、「これは大成功だな」と思いました。また「人の声」で作ったSEも大変効果的でこれもまたよし。モノラルの音声も、もともとサラウンドにあまり興味のなかった監督なので、シンプルになったぶん非常に良かったと思いました。
実は純愛モノだと毛ほども思っていなかったので、そこらあたりも意外(と言っては失礼なんですが)と感動してしまったりしました。キスしまくるのも生々しくていい。
そして、一番良かったのは戦争シーンが描かれなかったこと。あとで観たメイキングなどでも、監督自身がガッチリ描かないことを守ったと言っていたので「さすが」と思いました。
でも、何よりよかったのは、観ていてい「気持ちいい」んですよ。全編揺蕩うような気持ちよさとでもいいうのでしょうか。あれこそ宮崎駿の真骨頂じゃないかと思いましたよ。