男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『LOOPER/ルーパー』★★1/2

一部でかなり盛り上がり、前評判が良かったのですが、結果的にそれで期待しすぎてしまったようです。

一番の問題は個人的に一箇所でも「おおお!」という部分がなかったことです。アクションなりトリックなり意外な展開なりサスペンスなりがあればよかったのですが、残念ながらすべて予想の範囲内だったことでしょうか。

基本的には過去にもあるジャンル系映画のミックスという感じなんですが、監督(兼脚本)に粘着質なこだわりがあまりなさそうだったのが残念。もっと何かしらネチネチとこだわってくれれば大好きになりそうな映画でした。

ただ、ジョセフ・ゴードン=レヴィットブルース・ウィリスが同一人物を演じるという、どう考えても無茶なキャスティングは面白かったです。

ジョセフ・ゴードン=レヴィットは製作総指揮も兼ねているので、メイクまでしてブルース・ウィリスに似せる努力をしているのがやたらと面白い。芝居もちゃんと「いつもの」ブルース・ウィリスの芝居を意識していて、「ブルースさんには面倒かけませんので是非」という手もみ感がにじみ出ていて可笑しい。
しかし、中盤で展開される「どんどん主人公が歳をとっていくモンタージュ」シークエンスでその努力は水泡に帰す。○年後というテロップのあと、「本人です」と注釈が出てきそうなカットつなぎで、いけしゃあしゃあとジョセフ・ゴードン=レヴィットブルース・ウィリスにチェンジする。ここの「努力の踏みにじり感」には大笑い。マイケル・ジャクソンですら途中で「BAD」とかを踏まえて段々変わっていったのに、スリラーから突然「THIS IS IT」を観てしまった子供の気持ちが体感できること請け合い。もっと言うなら、『ダークナイト』でケイティ・ホームズからいきなりマギー・ジレンホールに変わった時の戸惑いとでもいうんでしょうか。「え? そういう仕様ですが」という製作陣の開き直りブリが最高でした。
何れにせよ、それでもちゃんとそれが「主人公」だと分かるようになっているのだから、編集による映画術には恐れ入ります。

というわけで、かなり面白いのですが、これはテレビで何の予備知識もなく子供の頃に観たら熱狂するだろう類の映画だと思いました。