男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

スパイク・リーのいつものアレをあつめたビデオ

スパイク・リーと聴いてまっさきに思い出すのは、「黒人」「問題発言」などなどではなくて、少なくともボクはこの「台車にキャラクターを乗せた移動撮影」。

スパイク・リーのシンボルとも言えるこのショット。人物が固定されて背景だけが動くショットは、通常の劇映画ではほとんどお目にかかれない。一番それに近くてインパクトがあるのは、『サイコ』でマーチン・バルサムが階段から転げ落ちるカットぐらいでしょうか。ヒッチコックは他にもこういった「現実とは違う脳内に作用する映像」を作るスペシャリストですけど。

スパイク・リーのこのショットにはあまり思想的なものはないようで(初期はあったのかもしれませんが)、もはや「お約束」といってもいいものになっています。

ボクが一番笑ったのは『インサイド・マン』で、腐れ縁とでもいうべきデンゼル・ワシントンを乗せたショット。一応緊迫したサスペンスでもあり、スパイク・リーがそんなに自分を押し出す必要もない商業映画にも関わらず、「なんだって!!」と捜査本部のバンから飛び出したデンゼルが「真顔で」(分かってるw)延々部下を引き連れて乗ってるんですよね。このビデオだとオーラスに登場しますけど。あの「分かった分かった、やりゃいいんだろう」という捨て鉢感を微塵も感じさせないデンゼルの役者魂が最高です。身体が身動ぎしないのに上半身だけで「切迫感」をちゃんと表現しているんだからお見事でしょう。

まあ、だからといって、そのショットに演出上の意図なんてまるで感じられないのがアレなんですけどね。ははは。