男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『アンノウン』★★★

アンノウン [Blu-ray]
アンノウン [Blu-ray]
posted with amazlet at 12.04.18
ワーナー・ホーム・ビデオ (2012-04-25)
売り上げランキング: 1292

懐かしい雰囲気のサスペンス

エスター』が面白かったジャウマ・コレット=セラ監督の次回作ということで観ました。リーアム・ニーソンはどういう理由か分かりませんが、最近すっかりアクション映画俳優になっていますね。ところがそれが結構ハマっている。元々身体は大きいし、顔つきもゴツいし、ダークマンだし、理由は割りと納得できる。この映画に関して言えば、「脆い」芝居が巧いのが絶妙ということでしょうか。寒々としたベルリンの描写も含めて、リーアム・ニーソンが不安で不安でたまらない様子がこの映画を支えているように思います。

ジョエル・シルバー製作なので、ちょこちょこと挿入されるアクションが「またかよ」という感じなんですが、実はこれがかなり重要な伏線になっているのも衝撃でした。

そう。この映画、この手の映画では珍しいほど先の展開が読めないんですよ。懐かしい雰囲気すら漂うサスペンス。もちろん偶発的事故が序盤にある限り、そこそこに矛盾を感じさせるんですが、それでも主人公の感じる「オレの頭大丈夫なのか?」というかなり生々しい恐怖が切実に体感できます。そういう意味では導入部の「偶発的事故」が有機的に作用していると言えますね。あれだけはしっかり「偶発的」として描かれているので、観ている方は「どこまでがアレでナニなんだ?」と終盤までフックにつながれるんですよね。

・・・

この映画の大好きなシーンは、写真展にやってくるはずの奥さんを張り込むリーアム・ニーソンが寒空の中屋台でなんか買って寒そうに食べるところ。あそこは『フレンチ・コネクション』の寒空のカチカチピザを思い出させる名シーン。個人的に「映画内での食べる行為」はボクの中で大きなテーマになっていることもあるんですが、不安で不安でたまらなくても何かを食べるっていうのがいいんですよね。しかも、リーアム・ニーソンの覚束ない食べ方がまたいいんですよ。

あれ、なんなんだろうなあw

肉団子みたいだったけど。

・・・

ジャウマ・コレット=セラ監督は『エスター』に引き続いて物語をグイグイ進める手腕が冴えていて、今作も余計な疑問を抱かせないようテキパキとみせるのが巧い。フォーカス・コントロールで背後に現れる異物を描写するのが巧い。ただ、アクション・シーンはありきたりという感じであまり感心できない。

・・・

タクシー運転手として物語に「偶発的」に巻き込まれるダイアン・クルーガーも相変わらず素敵。今のところこの人の出ている映画ではもれなく素敵なので、本当に素敵な人なんだろうw
ドイツが舞台だからキャスティングされたのかと思いきや、不法入国者ってのがいかにもハリウッドのやりそうな事ですねw

・・・

それにしてもこの懐かしい感覚はなんなんでしょうね。子供の頃にテレビでよくやっていた70年代の陰謀物みたいだからなのかな。主人公が陰謀に巻き込まれて追い詰められていく感じ。ただ、この映画はそういったモチーフをつかいながらも、陰湿な雰囲気は排除されて娯楽色を打ち出している点が現代風で正解かも。ジョエル・シルバーだからってのもあるんでしょうが。


やっぱり先の展開が読めない映画ってのは面白いですね。



バルカン超特急 [DVD]
バルカン超特急 [DVD]
posted with amazlet at 12.04.18
ファーストトレーディング (2011-02-14)
売り上げランキング: 16848

レディバニッシュ」とヒッチコック初期の傑作『バルカン超特急』ですね。こちらも明るさに満ちたサスペンスでした。とても30年代とは思えないアクション・シーンがあったりするんですよね。
ボクはリメイク版の『レディバニッシュ暗号を歌う女』を先に観たので、ショックを受けたのはそちらが最初です。


こちらもDVDになってました。ダグラス・スローカムが撮影なのか。観直したいなあ。日曜洋画劇場で観たんですよ。