男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『世界侵略:ロサンゼルス決戦』★★★

アーロン・エッカートの存在

『世界侵略』という抜群にイカす邦題を冠したこの作品。実際には原題通り「ロサンゼルス」を舞台にした局地戦を描いています。コロンビアのロゴの時点で戦争が勃発しており、「これはまさか面白いんじゃないか!?」と喜んだのも束の間、案の定「24時間前」とテロップが出て普通の序盤が始まりました。この序盤が『インデペンデンス・デイ』みたいに煽りまくる展開ならいざしらず、結局最後まで覚えられないに決まってる適当な小隊のメンバー紹介(しかもテロップ付き)をダラダラとやらかすので、「ああ……」と程度が知れる。

煽る気がないならイキナリ本筋にはいっちゃっていいんですよ。キャラクターの説明は行動と見た目でわかるようにして欲しい。そもそも兵隊たちの顔が平凡過ぎるよ。

と、ここまでで大体のチャンネルは合わせられるので、後は結構楽しんでしまいました。ははは。

それというのも、周りのキャラクターが極めて平凡なだけに、主人公のナンツ二等軍曹と彼を演じるアーロン・エッカートの熱演が際立っているから。

ブラックホーク・ダウン』と違って、いきなり相手から攻撃(侵略)を受けているので、戦う大義名分はできているのもめんど臭いテーマ性とかを排除していて良い。小隊というユニットに絞った宇宙人との局地戦というアイデアは中学生なら誰でも思い描くものですが、キチンとしたVFXで燃えさかるロサンゼルスという光景を見せる力技も凄い。

ミッシェル・ロドリゲスのお約束通りの活躍も楽しいが、やはり他のキャラクターの設定が弱いので、RPG的な面白さはまったく味わえない。まあ目指しているのが『対宇宙人版ブラックホーク・ダウン』なんだから別にいいんでしょうが、それならそれで脚本や監督の力量不足は歴然。この手の「戦場擬似体感系」映画に一番大事な「死ぬのが恐ろしい」感がまったく足りない。そもそも相手は宇宙人なんだから殺されるよりももっと恐ろしい目に遭うかも知れないと思わせないと、そうした意味が無いと思うんだけど。

絶対に体験したくない「死ぬほど恐ろしい体験」を疑似体験したいという、ある特定の人間に備わっている不条理な欲望を満たすのがジャンル映画の一つの目的なのだから。


それにしてもアーロン・エッカートは良い役者ですね。余計なことは一切言わずに常に行動を優先する男の中の男を、非常に親しみやすいキャラとして演じるのは並大抵じゃない。単独行動で敵を撃破して戻ってきた彼の手がブルブル震えているのが実に細かくて良い。ひとりでこの映画の評価を底上げしていると断言していい名演。



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『絶対に体験したくない「死ぬほど恐ろしい体験」を疑似体験』映画の金字塔。全映画人がこの映画に常に挑戦し続けて散っている。



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ジョーカーを演じたヒース・レジャーが凄すぎて話題になりにくいけど、ハービー・デントを演じたアーロン・エッカートも特筆ものの素晴らしい芝居と存在感。