『フェーズ6』★★★
哀しいロードムービー
WOWOWで放送されたものを。
アメリカで公開されたときにショウビズでランキングを観ていましたが、いつの間にか日本でも公開しいたらしく、いつの間にかWOWOWで放送されました。DVDのみの発売なのでHD放送で初見は嬉しい。
『スター・トレック』のカーク、『アンストッパブル』の若者と、最近調子のいいクリス・パインが主演です。致死率100%のウイルスが蔓延して人類が滅亡寸前になっているアメリカが舞台。兄弟とふたりの女性が車で旅をしながら様々な事に巻き込まれるという、ロードムービーのスタイルをとった終末映画。ゾンビと違って相手はただ死ぬだけなので、基本的には地味な展開が続くのですが、マスクを大事にして滅菌してという、「感染する不条理」な恐怖は結構充満しています。まあ、致死量100%にしては登場人物たちの防菌がマスクとビニールシートだけっていうのはちょっと緊迫感薄いのですが。
今まで行動を共にしてきた人が感染した途端にグループから「外され」ていく描写はなかなか胸にせまるものがあり、変に生々しく観客の神経を逆撫でる演出にしていないのは好感が持てました。この手の映画だとそういう展開がお約束なので、過剰にお涙頂戴や内ゲバ爆発的にオーバーな演出になりがちなんですけど、この映画節度があり、それが逆に怖い。
85分という短い上映時間なので、それぞれのエピソードは特に深く掘り下げられることもなく、淡々と進んでいくのもロードムービーというスタイルとしてはありかも知れません。
派手なサスペンスやホラー映画を期待すると肩透かしかも知れませんが、終末映画としては個人的に好みの映画でした。