男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『トロン:レガシー』★★★


「コツは手首のひねりだ」

ワーナーマイカルにて字幕版鑑賞。

懸念だった3Dは、クリップ・オン・メガネタイプにしたので、実に快適。これならいつものメガネをかけているのと同じなので違和感はかなり少ない。ただし、『トロン:レガシー』が3D映画として効果抜群だったかというと別。

基本的なプロットは前作と同じで、コンピューター世界に入ってしまった主人公がアレコレあって現実世界に戻る話。前作は異世界ファンタジー的なムードが良くも悪くも魅力の一つでしたが、今回の作品にはそういったムードは皆無で、良くも悪くも「ゲームの世界」的。本来『トロン』に求められていたのはそういったムードだったと思うので、今回の『レガシー』はそれを実現したとも言えるのですが、実際にはそういったムードの映画は山ほど作られてきてしまったし、新鮮味は恐ろしいほど乏しい。

もっとも、『トロン:レガシー』の”不完全なシナリオ””ありきたりな演出”は、主人公ケヴィン・フリンが悟ったテーマ*1である、「完璧なものはないものねだりだ」(意訳)境地を実践しているともとれます。結果論ですけどね。

と、ここまで否定的なことを書いておきながらアレなんですが、個人的には結構楽しんでしまいました。

クールだと思っていたあのオカッパキャラが、実はかなり明るめで前向きなキャラクターだったり、「お前自身が完璧には程遠いだろう」としか思えない敵役のクルーが、常に最前線で戦うバカな指導者だったり(お前は『グラディエーター』のホアキン・フェニックスかよ)、ジェフ・ブリッジスアカデミー賞を受賞した人間のお約束とも言える「メジャーエンターテインメントで不必要ながんばり」をみせてくれる一人二役とか。前作でも最先端のイメージだったデスクトップパソコンが、今でも最先端のイメージだったし。

サントラも購入したダフト・パンクの音楽が要所要所でやたらと盛り上げてくれるのもいい。

<ネタバレあります>



そして、”トロン”ね。前作ではタイトル・ロールだった主人公プログラムですが、なんとこの作品では敵に修正されて「鉄道の監視係」になっている!! (訂正:ボクがボケッとしていただけで、サムとディスクバトルで決勝を戦っているし、ちょこまかとクルーの横で睨みを効かせていました←顔見えないけど。でも、鉄道のシーンでケヴィンが「トロンだ…」って気付くシーンがあまりにも盛り上がらないんでびびったんですよ。)
トロンが最後の最後にケヴィンとの思い出で本来の目的を少しだけ思い出して復活。しかし、あえなく海に沈んでしまう。そこでエネミーイメージであるオレンジの光が、正義の象徴であるブルーカラーに一瞬もどるのが泣ける。願わくば最後に復活した勇姿をみせて大活躍してほしかったのですが……



<ネタバレ終了>


それにしてもジェフ・ブリッジスの若返りイフェクトはすごすぎ。まったく違和感なく『ラスト・ショー』とかの彼に戻っていましたよ。最初のシーンだけかと思ったら、敵役のクルーを全編それで処理しているんだからすごい。あれが一番最先端の技術だったってのもパラドキシカルで笑えます。


TRON: Legacy - Daft PunkTRON: Legacy - Daft Punk


*1:禅とかあれこれで