男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

CUT2010年12月号の『キック・アス』特集及びその他の雑誌事情


Cut (カット) 2010年 12月号 [雑誌]

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クロエ・グレース・モレッツとインタビューとマシュー・ヴォーン監督のインタビューが読めます。

《来日していたクロエ・グレース・モレッツへのインタビュー》

監督が自らのポケットマネーで資金繰りした映画が、あれほどの快挙を遂げるのを目の当たりにするのは、信じられないような体験だった。だから今ふり返っても、この映画に対してはいい思い出しかないの


マシュー・ヴォーンがハリウッドのスタジオから資金を得られなくて、ほとんど自主制作状態で作られた『キック・アス』。出演している方も不安はあったでしょうに、「いい思い出しかない」ってのはいいですよねえ。

でも本当に『キック・アス』の成功のおかげで、わたしの人生は別次元に突入したというか、本当にすべてがシュールで


映画史の奇跡と呼んで全く差支えがない”ヒット・ガール”を演じているというのは、長い子役の歴史を見渡してもあまり例を見ない事ですからね。そりゃ別次元に突入しますよね。それ以前がごくごく一般的な「子役」のフィルモグラフィーなだけにね。続編があったとしても、絶対にこの映画に封じ込められた”ヒット・ガール”は二度と再現できないでしょうからね。トロンのジェフ・ブリッジス若返りテクノロジーをもってしても。


”cunt”という汚い言葉を使うことに抵抗は? という質問に対して

ヒット・ガールとして言ってるわけで。しかも、あの文脈だと特に意味を持たない言葉で、『おい!』と同じような形で使っているわけでしょ。コミックにもまったく同じくrだりがあるし。ただひどいのは、マシュー・ヴォーンとジェーン・ゴールドマン(共同脚本)に『なるべくコミックを忠実に再現したいから、とりあえずワンテイクだけ言ってくれ。そのテイクは使わないだろうから』って説得されたのよね。そしたら当たり前のようにそのテイクが使われちゃってるという(笑)


あはははは。一応役柄の上でとエクスキューズしておきながら、結局「だまされた」と暴露しているのが大笑い。まあ、あのセリフのニュアンスは「おい!」程度じゃないと思いますけどね。



CUTは写真がきれいですよね。「2時間しか寝てない」らしくて、どことなくアンニュイな感じがいいです。


《マシュー・ヴォーン監督へのインタビュー》


可能なかぎり現実的な作品にしようと努めると同時に、現実にこだわりすぎてドキュメンタリーみたいにならないように心掛けてもいた。実際そうなったら退屈だし、ケン・ローチが作っているみたいなスーパーヒーロー・ムービーじゃないんだから。僕は純粋なエンターテインメント映画が作りたかったんだけど、一方では、映画の中で起こっていることはすべて論理的にも可能である、という作品にすることも重要だったんだ。


キック・アス』の最も重要な部分がちゃんと語られていますね。

(プロデューサーとしての自分と監督としての自分について)ただ興味深いのは、今回映画を作っていて、監督、つまりクリエイターとしての自分が、プロデューサーとしての自分に勝った瞬間のほうが多かったことで。よりクリエイティヴな部分を優先したということだけど、だからこそ僕にとってベストといえる作品になったのかもしれないね。


後述するように、自主制作状態で作ったからこそ、あれだけ迷いなく吹っ切れた作品になっているんだと思いますね。ハリウッドのスタジオが「ヒット・ガールを外すのが条件」という考えられない事を提案してきたそうですが、それを蹴ってまで作ったからこそ、ヒット・ガールがあれだけ光り輝いているんですもんね。

この映画を作りたいという人も、この映画にプロジェクトとして取り組みたいと言ってくれた人もいなかった。というわけで、結局イギリスで作るしかなかったんだけど、逆に今回はそれが良かったんだと思う。イギリスで誰からの指示も受けず、誰にも介入されず、利益を上げるためにコマーシャルな手法を使うことを強いられなかったから、自分の好きなように作れたし、人々に愛される良い映画が出来上がったんじゃないかな。いまにして思えば、僕らが下した決断はすべて、この映画をより良くするための決断だったんだろうね。


メイキングを観ていても、マシュー・ヴォーンは物静かで穏やかな人物のようですが、「絶対に自分が作るものは面白い」という揺るがない熱い精神が感じられます。イギリスで公開されてからしばらくたっている時期なのでしょうから、結果を受けての自信もあらわれていますね。あと、メイキングでスタッフがみんな楽しそうに仕事をしているのが印象的なんですよ。監督のビジョンを共有して一致団結している感じです。

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池袋のジュンク堂で今回バックナンバーを漁っていたんですが、映画雑誌などでは軒並み『キック・アス』がエアーな扱いなんですよね。寂しい……。まあ、突然お正月公開になったり、基本単館系の上に日本で一番売りづらい”アメコミ”風なイメージですからねえ。

そんな中、アメリカ公開時から熱心に取り上げていた『映画秘宝』だけは、ちゃんとヒット・ガールを表紙に持ってきてナイスです。ヒット・ガールの全身写真を表紙に使っている雑誌は日本では現在この号だけです。ははは。(内容自体は巻頭2ページの特集だけなんですけどね。『秘宝』には別冊扱いでも出して欲しいなあ)

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映画関係の雑誌ではすっかり「無かった事」にされている『キック・アス』ですが、ヒット・ガールの超絶銃器アクションがあるだけに、この2大ミリタリー雑誌では他の映画を押さえて1ページどんと紹介されています。ブルーレイなどが発売されたときにはもっと特集されるんじゃないかと強く希望しますが。


おそらく、業界内でも今回の『キック・アス』の大ヒットは寝耳に水だったはずですから、実際には今月か来月から発売される号で特集を組まれるかもしれませんね(希望的観測)。またブルーレイが発売されたときには大々的に取り上げられてくれるはず!!