男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

野沢那智さん死去


http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010103001000567.html


野沢那智さんが亡くなられてしまった。

テレビで映画を観始めた世代としては、数々の名吹き替えで楽しませてくれました。野沢那智さんの吹き替えは常に「ただ台詞を言ってる」だけではなく、過剰なまでに息遣いや感情を入れ込んで、おそらく役者本人よりも「わかりやすく」視聴者に芝居をみせてくれていたように思います。

一番の好例が日曜洋画劇場で放送された『ダイ・ハード』シリーズでのマクレーン。ブルース・ウィリスは比較的淡白に台詞を言うタイプなんですが、野沢那智にかかったらそうはいかない。映画の感情その物をストレートに吹き替えてみせました。とても声だけで芝居しているとは思えない迫力が野沢那智さんにはあったと思います。


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一作目から三作目まではビデオ時代から樋浦勉さん(言わずと知れたフーパー)が吹き替えていて、これはこれでバッチリハマっているのですが、野沢那智さんの吹き替えは収録されてきませんでした。ところが四作目では劇場での吹替版が野沢那智さんだったので、なんと樋浦勉バージョンと野沢那智バージョンが両方収録されることに。ナイス判断! ぜひとも1〜3も野沢那智吹替版を入れてほしい!


他にも『大統領の陰謀』では、ダスティン・ホフマンの吹き替えをまたまたユーモラスに熱血に演じており、オリジナル音声で観たときはかなりびっくりしましたよ。ホフマンもわりと淡々と台詞を言うタイプなのですが、ロバート・レッドフォードを吹き替えた広川太一郎さんとメリハリをつけるようにな野沢那智さんの吹き替えが実に効果的だった。キャラはそういうキャラですしね。



大統領の陰謀 スペシャル・エディション [DVD]
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こちらのスペシャル・エディションには野沢那智バージョンがばっちり収録されています。他の声優さんたちも素晴らしい芝居で楽しませてくれます。傑作。


そして、何といっても楽しい野沢那智さんを楽しめるのは、『スター・ウォーズ』三部作のC-3POでしょう。ボクの愛する松崎しげる版でも思いっきりアドリブしまくる那智3POが炸裂。



スター・ウォーズ トリロジー DVD-BOX
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残念ながら(当然ながら)松崎しげるバージョンは収録されていませんが、ちゃんとDVD版も野沢那智C-3POを吹き替えています。こちらも盤石の面白さ。でもアドリブはどう考えても松崎しげるバージョンの方が凄い。


転じてアニメの方でも名吹き替えが多いのですが、ボクらの世代ではやっぱり何を置いてもコレ!



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もちろん刷り込みもあるんですけど、どう考えても野沢那智コブラしか考えられない。「はぁしれるぜ」の「ぁ」が野沢那智なんですよね。野沢那智が演じると、どんなタフガイでも血が通ったキャラになって、「ひょっとしたら死んじゃうかも」と思わせるんですよね。そういう意味ではコブラには適役ではないのかもしれないんですが、それでもやっぱいコブラが愛すべきキャラに感じてしまうのは、野沢那智が吹き替えているからなんですよね。


アニメでもう一本どうしても外せないのは、24時間テレビで放送された手塚治虫の『マリン・エクスプレス』。この時に登場するブラック・ジャックを吹き替えているのが野沢那智さんで、ボクが最初に観たブラック・ジャックがこれだったので(漫画はもっと後)、完全に野沢那智さんの声なんですよ。ブラック・ジャックは。間黒男は。あのニヒルな声こそブラック・ジャックにばっちりあっていると思います。

海底超特急マリン・エクスプレス [DVD]
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個人的にもう一本は『激突!』。いろんなバージョンがありますが、ボクが最初に観たのが傑作と名高い穂積隆信バージョン。なんとこの吹替版は冒頭部分のラジオ番組の吹き替えを野沢那智白石冬美のコンビがやっているんですよ。どういういきさつでこうなったのかは分かりませんが、この冒頭部分だけの吹き替えなのは凄すぎます。


激突!スペシャル・エディション (ユニバーサル思い出の復刻版DVD)
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残念ながら在庫が無くなっていますが、こちらの思い出の復刻版シリーズでそちらが収録されたときの興奮ときたら。ぜひブルーレイ発売の時には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように、こちらの吹き替えもぜひ収録していただくようお願いしたいですね。


今まで楽しい吹き替えをありがとうございました。合掌。