『カプリコン・1』★★★1/2
テリー・サバラスがおいしいところを持っていきすぎ
実は今回の「奥さんと劇場」は”半分だけ”です。と言うのも、家にいた奥さんから「何か映画が観たくなったから『カプリコン・1』観てみる」とメールが来たからです。それだけなら別に「あ、そう」としか言いようの無いメールなんですが、以前にも書いたことがあるように、家の奥さんは「ハラハラドキドキする映画」が大嫌い。特に「だまし騙される」的なストーリーは特に嫌い。つまり、『カプリコン・1』を観た事のある人なら、説明する必要はまったくないのですが、この映画は
そのすべてが叩き込まれた映画
な訳です。
なので、ボクとしては「なんで??」と衝撃でした。後で聞いたら、TSUTAYAにいたときに、返品保証の催しでこの作品が選ばれているのを観て、ボクがこの映画がいかに面白いかを力説していたからだそうです。
半分ぐらい過ぎたあたりで家に帰ったので一緒に見始めたのですが、やっぱり猛烈に面白い映画でした。
ピーター・ハイアムズにしてみれば、『破壊!』でデビューして、日本未公開のラブコメを撮ってからの三本目というところ。脂がのりきっている作品です。ハイアムズ自身が書いたオリジナル脚本の出来は言うに及ばず、サスペンスでグイグイ引っ張っていきながらクライマックスで炸裂する大空中アクションに持っていくあたりカタルシスが凄い。しかも、余計な説明が一切不要なスマートで爽快なエンディング。確実に傑作でしょう。
そして、この映画を傑作にしているもう一つの要因がジェリー・ゴールドスミスの傑作サウンド・トラック。まさに映画音楽としか言いようがない「効果的」なサウンドは素晴らしすぎる。
個人的に大好きなハイアムズ映画『シカゴ・コネクション 夢みて走れ』がハイビジョンで放送されないかと期待しているのですが、まったく気配の無いこの頃。まあ、DVDにすらなっていないんですからねえ。ハイアムズは『ドラキュリアン』の製作をしていたり『ハンター』や『テレフォン』の脚本も書いていたりと、徹底して娯楽志向なのが素晴らしいんですが、やっぱりハーレクイン的な要素がないぶん、ジェームズ・キャメロンにはなれなかったんでしょうねえ。