男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ローズマリーの赤ちゃん

ミア・ファロー¥ 1,190 (21% OFF)
ホラーを超える心理劇
名作です
出演者の演技力で構成されているドラマのような映画。
SF:348位 (2010.09.22)
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ご近所ものの悪夢

スターチャンネルHVにて。

ロマン・ポランスキー監督が、イギリスで『吸血鬼』を撮ってからハリウッドで本格的に活動開始した作品ですが、多分この映画をつくったせいで奥さんのシャロン・テートをマンソン・ファミリーに虐殺されてしまう。それぐらいこの映画の「悪魔」な感じは真に迫っている。

と言うのは、「邪教」に限らず過度な信仰心を持っている人間が、持っていない人間(主人公のローズマリーは敬虔なクリスチャンですけど)にとってどれほど「鬱陶しい」存在であるかを的確に描写した前半部分が白眉だからです。

もちろん映画としても物語としても、構成上は終盤のサスペンス劇に重点が置かれていますし、ポランスキーの演出も抜群に冴え渡っているのですが、ある意味退屈とも思える前半部分の「真綿で首を占められるような」鬱陶しい隣人付き合いの部分が素晴らしい。

ボクの大好きな『マイ・ボディーガード』(デンゼルの方じゃなくトニー・ビル監督の方)では愛すべき(でもやっぱり五月蝿い)おばあちゃんを演じているルース・ゴードンが、この作品では「ぶんなぐりたくなる」ほど鬱陶しい隣人のばばあに扮していて、これがとにかく最高。アカデミー助演女優賞も納得の腹立たしさ。

こういった生活に密着した恐ろしさは、ボクの中では藤子不二雄A先生による『魔太郎がくる!!』でたっぷりとすりこまれているんですけど、何度もブログで書いている『不気味な侵略者』にとどめをさします。こういう作品を観るとやっぱり「一番怖いのは人間」という意見に頷きたくなる。

ロマン・ポランスキーの演出も明らかに他の人間では作り出せないような映像の連続で、広角レンズの歪な映像や、ギラギラした色彩感覚も普通の映画ではなかなか味わえない。それでいてちょっとしたところでも緊張感を作り出すのも絶妙で、特に廊下から電話しているジョン・カサヴェテスを捉えたカットなどは、ギリギリで話している顔の部分が壁に隠れて見えなかったりして気味が悪い。また、エレベーターから追手が迫ってくるギリギリ感も緊張感満点。そして、家に入って電話をしているローズマリーの背後で無音に走り抜ける人間の姿のショットなどは肝が冷えるほど怖い。

この映画が公開された1968年は、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』や『2001年宇宙の旅』『猿の惑星』などが次々と公開されている年ですが、この映画もその後の一大オカルト映画ブームの先鞭をつけていることは間違いない。

とにかく「不気味」な映画です。