男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

スタートレック


エイブラムスは好きじゃないけど

ハッキリ言ってJ・J・エイブラムスは映画監督としてはまったく好きになれず、『クローバーフィールド』の業績を語るときに彼の力のように言われると内心ムっと来ていたりもします。『LOST』の第一話などは大変良く出来ているのですが、『ミッション・インポッシブル3』がかなりしょっぱい出来だったので。

今回『スタートレック』がリメイクされると聞いて、エイブラムスが監督に決まったときには

「また、肩すかしかなあ」

と心配でした。

結果的には

「すんげえ面白かったけど、やっぱりエイブラムスは好きになれない」


でも、

すんげえ面白いんですよ!!

たぶんアレックス・カーツマンとロベルト・オーチという脚本家コンビと相性がいいのかなと思いつつ

「でも、ミッション・インポッシブル3だってこの二人だよなあ」

と頭を抱えています。

エイブラムスはプロデューサーとして活躍した方がいいんじゃないかなあと思うんですよね。キャスティングも素晴らしいし。

とかいいつつ、アバン・タイトルのカーク誕生のシークエンスなんか、いきなり良い演出してくれたりして(シナリオとしてもいいですし、音の使い方がいいんですよ)、要所要所では凄くいいんですよねえ。

うううん。でも、やっぱりビジュアル・スタイルが肌に合わないのかもしれません。

・・・

建造中のエンタープライズを見て入隊を決意するカークとか、次々と後々の仲間と出会っていく作劇とかをイチイチぐっと見せつつ、その序盤をあっという間にまとめてあったりするのも素晴らしいです。

そして、何と言ってもキャスティングが素晴らしい。

それぞれのキャラクターに見せ場がうまく用意されているのもあるのですが、それぞれのキャストが実においしい。

マッコイを演じたカール・アーバンなんて、あの髪型が妙にハマって最高でしたよ。そうそう、マッコイってあんな感じだよなあと。

若き日のカークを演じたクリス・パインも意味不明に自信満々なカークのキャラを見事につかんでいて引き込まれます。どう考えても無理のある艦長就任劇が何故だか妙に納得させてくれる。大体あのお馴染みの椅子に座るのが様になっているんだから仕方がない。

初代艦長のパイク(ってテレビのパイロット版の船長なんですね。細かいなあ)を演じるブルース・グリーンウッドも『13デイズ』でJFKを演じてお気に入りの役者さん。今回も存在そのものに人望を感じさせてくれます。

なかなか登場しないなあと思ったところで、満を持して登場する機関士スコッティを演じるのは、我らのサイモン・ペッグ。全然違和感なく溶け込んでいるのが見事です。あの適当な感じが実にスコッティ。

スールーを演じるジョン・チョーも、真顔でワープをしくったりして笑わせてくれますし(しかもちゃんと伏線になっている)、接近戦の得意な奴と言われて志願するけど、カークに「なにが得意なんだ?」と訊かれ、真顔で「フェンシング」とか(しかも、これもちゃんと役に立つ!)。終始真顔なのがいいんです。

そして、スポックね。ザカリー・クイントという人。この人がいい。凄くいいね(淀長口調)。

論理的に振る舞おうとするけど、やっぱり感情も制御できなくなったり。レナード・ニモイは「論理的に感情を理解する」という芝居が絶妙だったのですが、彼のそのまんまな芝居も若さをよくあらわしていて好感が持てます。わかりやすいし。やっぱり常に論理的な思考をするキャラがいると頼もしいよね。スポック大好きです。

いちばん好きなシーンは、スポックが敵の宇宙船へ潜入する作戦を立案して、自ら(論理的に成功率が高いから)志願するくだり。もちろんカークが「俺もいくぜ!」と調子に乗るんです。そうすると、「反対してもあなたは行くでしょう」とさらっとスポックが言うや、カークが「やっとわかりあえたな!」と肩をバーン! その時のスポックが「……」って感じで(でも、ちょっとだけ嬉しそう)な間を作るのが最高でした。体もちょっとだけたたかれてずれてるし。このシーンが観られただけでも元は取れましたよ。


それにしてもエンタープライズ号はカッコイイなあ。登場するだけで鳥肌がたつもんなあ。