男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

グリズリー

熊がかわいい

ハッキリ言って91分の映画なのに何度も眠気に襲われる。と言うような映画なのですが、小学生の頃昼間に放送していたテレビ版を観て以来どうにも憎めない理由が今回のDVDで何となく分かりました。この映画ってロケーションが凄く良いんですよ。自然公園が舞台になっているだけあって、ロケを行っている場所が大変綺麗。ヘリで撮影された(しつこいほど流れる)空撮などでもそれが良くとらえられています。音声解説で分かったのですが、撮影は冬にさしかかろうかという秋真っ盛りに行われたそうで(設定は夏だから苦労したそうですが)、そのちょっと寒々とした雰囲気が何とも安らぐ。

そもそもグリズリーそのものも、手だけで襲ってくる前半部分はモンスター風ですが、中盤からいよいよ本物の熊が登場するや思わず

「可愛い!」

と声が出るほど愛くるしい。

ウィリアム・ガードラーはサスペンス演出とかそういった事が未熟だったようで(音声解説でも言われてる。ははは)、そういった部分は非常にかったるい。

クライマックスで、学者が埋められた後に息を吹き返して、ゆっくりと周りを見てから起き上がるんですが、声に気づいて振り返ると熊が立ってて「えええ……」というアップで終わるシーンがあります。このあたりのチンタラさは目も当てられないのですが、音声解説で製作者が一生懸命「これがホラーだ!」と力説していたのが何とも哀しくなってくるぐらいです。

音声解説で懸命に「ジョーズと比較されるのは不愉快だ。あれには断じて影響を受けていない。  原作は読んだけどね」と語られるように、どちらかというとピーター・ベンチリーの原作の影響を受けてシナリオが書かれた可能性は非常に高いです。正直言って『ジョーズ』も原作はかったるいですからね。最後に一人しか生き残らないのも原作通りで、ノベライズではヘリのパイロットが実は生きていると言うあたりも、ノベライズが映画の『ジョーズ』に影響を受けている可能性が高いです。
動物を爆死させるという斬新極まる『ジョーズ』のラストは、どう考えてもこの映画版には影響を与えていると思いますけどね。

ただ、何というか子どもの頃に観た興奮の記憶が見事に美化されて、あのロケーションの美しさと共に文字通り憎めない作品になっているんですね。

まあ、これを大人になって新規に観ろっていわれたら、多少ひるんでしまいますが。