マイクル・クライトン死去
ショックです
あんまり著名人が亡くなってもショックを受けないのですが、マイクル・クライトンが死んだのはショックでした。もちろん大好きな作家だからというのもあるんですが、、『ジョーズ』以前の映画の印象で唯一残っているのが『ウエストワールド [DVD]』という事もあって、自分の人生のバックボーンに関わっているという気持ちがずっとあるんですよね。(確か妹もかなり後になって「一番怖かったんアレや」と同映画のシーンを話していました)
ボクがエンターテイメントに求めている最大のものは『刺激』です。とにかく、観ている時や読んでいるときに、ちょっとでも「うお!」と刺激を受けたいのです。
マイクル・クライトンの小説はそれが連発するのです。
それだけに信用度がかなり高く、クライトンなら間違いないといつも読んでいました。
ただ、『エアフレーム―機体〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)』あたりでは、「?」とはなってましたけど。
クライトンが絡んでいる映画は上記のように自分の人生にまとわりついているのですが、小説に関してはかなり後になってからでした。
それが
- 作者: マイクルクライトン,中野圭二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1989/09
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
です。
当時キャメロンの『アビス』が観たくて観たくてたまらなくて、色々関連記事を読んでいると、マイクル・クライトンの『スフィア』について書かれていたんです。深海が舞台で『ウェストワールド』の監督が書いた小説か! と小躍りして本屋さんで探したんです。
いきなりハードカバーだったのには驚きましたが、迷わず買ってその夜に一気に読んだときの衝撃ときたら。まあ、そのせいでキャメロンの『アビス』がちょっと物足りなかったりもしたんですけどね。
とにかくディティールが生み出すリアリティと、科学者たちがあれこれと考えを巡らして推論していく展開がしびれました。各章の末には必ず何からの衝撃があるので、左目の隅に空白が入ってくると「くるぞ!」と身構えさせるんですね。しかもそれにちゃんと応えてくれるし!
また、アクション・シーンとかでもそのディティールが冴えるのがたまらなくて、主人公が閉じ込められた部屋から脱出するさいに、天井のハッチを開けて海中に出るんですが、「ウエイトをしていないことに気づいた」と、体が浮力で上がってしまうんですね。咄嗟に梯子をつかんでの「逆クリフハンガー・アクション」に。ああいう燃えがね、すさまじいんですよ。
名義は違うんですけど、『サンディエゴの十二時間 (ハヤカワ文庫NV)』も犯人が残した罠と主人公の知恵の絞り合いが激燃えでした。クライトンが監督したテレビ・ムービーは正直「……」でしたけどね。
ご冥福をお祈りします。