男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

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90分っていうのはいい

と書いたものの、映画の体感時間というのは編集とか情報量とか様々なもので変わるので、厳密にはこの映画は「長く」感じる映画です。まあ、同じ話を何度も聞かされればうんざりするという感じで。

30分前後の出来事を何度も繰り返し違う視点で描くという手法は実は全然目新しくなく、どちらかというとアメリカのテレビドラマに顕著な「引き」の強さを映画の中に持ち込んだ手法が新しいというべきでしょうか。とはいっても、アメリカのテレビドラマの「引き」は次の週にも視聴者をテレビの前に座らせる手法として大変効果がありますが、通してみることが前提の映画では

「何度も寸止め見せられてるみたい」(妻)

という感じです。

結果的に終盤で俯瞰的な全体像を見せることに合わせて、テンションの高いカーアクションを交えてクライマックスにしていますが、その全体像があんまり劇的なものではないんですね。言ってしまえば「ありきたり」のサスペンスの一編という感じです。

演出的にも派手なところはあるけれど技法的にはオーソドックスなので、感覚としては「よく出来たテレビムービー」という雰囲気です。それでは本当にそうなりかねないので、視点を交錯させる今回の手法で複雑にして見せたという。

決してつまらなくはないんですが、ホレスト・ウィテカー演じる一般人の扱いや、個々の登場人物の行動の動機がまったく提示されていないので感情移入が出来ないのが問題なんでしょう。まあ、そんなのがなくても状況自体が面白ければ成立するので、やっぱりそちらを手法に負けない程度にあっと驚くものにするのがベストだと思います。