男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

Commando (Director's Cut)


Commando (Director's Cut) (1985)
Starring: Arnold Schwarzenegger, Rae Dawn Chong
Director: Mark L. Lester

List Price: $19.98
Price: $10.49
In Stock.

この映画が公開されたときに中学生でホントによかった。

先日の『ランボー怒りの脱出』に続いて今回はこちらを鑑賞。

まず、何と言っても注目なのは90分の上映時間が91分になっているということ。つまりディレクターズ・カットなんですね。律儀にオリジナルとの切り替え仕様なんですが、どうしてブルーレイもこれにしなかったのか不思議でなりません。
と言うわけでDVD=SDでの鑑賞です。さすがにブルーレイばっかり観ているとSD画像は厳しいものがありますが、PS3のアップコンバージョンと次第に目が馴れていく所為で案外キレイに観られます。
肝心の追加シーンですが、確認できた部分で重要なのは二箇所。
レイ・ドーン・チョウに娘がさらわれたことを説明するシーンで、母親が娘を産んですぐに死んでいることなどを話しています。他にも《削除シーン》に収録されている、ショッピングモールでのメイトリックスの大暴れを尻拭いしているカーヴィーなどがあり、とにかく余計な場面を切ってアクション中心にしていることが分かりますね。
続いてこれが目玉とも言うべきバイオレンス描写の追加。テレビで放送される際は必ずカットされる、クライマックスでの納屋虐殺シークエンスが劇場版よりより残虐になっています。鍬が腹に突き刺さった後に”さらにググっと押し込まれるカット”、円盤ノコギリを投げられて”首に刺さってゲホゲホというカット”、腕を鉈でザンと切った後に”切られた兵士が身もだえして苦しがるカット”などなどの無駄に残虐なカットが追加されています。

YouTubeにアップされていたのでご覧アレ。

よりにもよってここが強化されているあたりに、マーク・L・レスター監督の底意地の悪さが発揮されていて楽しいです。

上にも書いた削除シーンでは、有名な「蒸気抜きをしなベネット!」の別バージョンがいくつも収録されていて笑えます。微妙に色々と台詞が違うんですよ。

以前のDVDの記憶がちょっと定かではないのですが、5.1chの音声も迫力が増しているように感じます。これは家のシステムがバージョンアップしているから感じるだけかもしれないのですが、この映画の聴き所である銃器関係のサウンドと、闇雲にド迫力なジェームズ・ホーナーの音楽がやたらサラウンドしているのが特徴でした。ホーナー得意の ♪グジャン、ジャン、ジャン、ジャン… と言うパーカッションが右に左に振られているのが燃えます。

しっかし、メイキングでもとぼけた顔をさらしているスティーブン・E・デ・スーザの脚本が凄いですよコレ。完全に行き当たりばったりで構成されていて、推敲の後がまったく感じられないんですよ。それでもこれだけ愛すべき作品に仕上がっているのは、シュワルツェネッガーの明るい一面を引き出したともいえる、イチイチ出てくるユーモラスな台詞ですね。これをシュワが棒読みで喋るのがヤケに面白いと言うか、妙な味になっているんですよね。同様の『ダイ・ハード』では、ブルース・ウィリスの芝居が上手く、この手の台詞が非常に似合うので様になっているのですが、この映画では絶妙に乖離してしまっていて、くすぐったい笑いを生み出しています。
多分レスター監督のジャンプ・コミック感覚丸出しの劇画演出がそういう部分を許容しているんじゃないでしょうかね。

また、この映画をはじめとして80年代アクション映画を語る上で絶対に外すことの出来ない名編集マン「マーク・ゴールドブラッド」のテクニックも存分に味わえます。特徴的な”1つのアクションを撮影した二つのショットを絶妙にずらしてつなぐ”アクションつなぎは絶品で、この映画ではそこらじゅうで炸裂しています。

有名すぎる”武装シーン”から始まる第三次世界大戦のシークエンスにいたっては全編ゴールドブラッドとジェームズ・ホーナーのプロモーションじゃないかと思えるほどのテンションです。



↑全世界中学生男子の魂に今でもくすぶり続ける何かに着火した名武装シーン。武装シーンは数あれど、その中でも頂点は間違いなくこの場面ですね。『ランボー怒りの脱出』でもゴールドブラッドは武装シーンを見せ場にもって来ましたが、こちらは映画のクライマックスにあたるので、テンションが尋常ではないことに。ジェームズ・ホーナーの音楽もボルテージが普通じゃない。

↑1分40秒あたり、ダン・ヘダヤに対してM-16を片手で乱射するメイトリックの場面は白眉で、一瞬音楽が消えた瞬間、逃げるダン・ヘダヤに対して窓ガラスを一掃するフルオートショットは燃えまくりです。これを1カットで撮るレスターもレスターですけどね。あれで燃えなきゃ中学生男子じゃないぜ!

たくさんの亜流を多く生み出し、この映画自体も亜流だったはずなのに、何だか極めちゃってる感じがして猛烈に面白い映画です。

↑説明不要の名予告編。80年代アクション映画のすべてがつまっている。