男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

マーティ [DVD]

マーティ [DVD]

人の話を聞かないと嫌われるぞ

アーネスト・ボーグナインがこのために産まれてきたんじゃないかと思えるほどのハマリ役で演じ、オスカーも受賞している名作。

優しいが太っていることと器量の悪いことをコンプレックスにしているマーティは、土曜の夜にもデートに誘った相手にフられて、母親にもこのまま独身でいいの? と励まされてプチ切れ。それでも優しいマーティは母親が甥っ子夫婦に聴いたダンス・ホールに友達としぶしぶ行ってみる。
案の定そこでもダンスの誘いも断られてずっと立ちっぱなし。そこへ妹に誘い出された同じような境遇のクララが現れる。

この映画のいいところは、これからドラマが始まるぞというところで潔く終わってしまうところでしょうか。91分と言う上映時間も最適です。
それでいてただのロマンスじゃないのは、マーティをはじめとする登場人物たちの造形や心の機微を恐ろしく繊細に描いているところ。しかもそれがご都合主義的にドラマに絡んでくるわけではなく、逆に「それでどうなったの?」と思わされるほどまったく収斂しない。もちろんドラマとしてのカタルシスは全然味わえないので、それがまた唯一ドラマとしての進展を果たすロマンス部分を強調する。
独身同士で馴れ合っていたのに女が出来た途端にふてくされる親友、あんなに独身でいることを心配していたのに、息子に彼女ができた途端にアレコレ不安になる母親、折角姑を追い出せることになったのに、やっぱり仲良くしろよと切れて全然マーティの相談に乗ってくれない従兄弟、などなどリアリティ満点のドラマがマーティのロマンスに全然絡んでこないあたりが非常に面白い。