男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

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高校生の頃は良く観ていたんですが、大人になってからはそれほど観かえしていなかったので、やたらと新鮮で面白かったです。
また、HDクオリティの恩恵が素晴らしく、『隠し砦の三悪人』に引き続いてのシネスコの画作りが本格的に冴え渡って、全編シネスコでないとお話にならない構図や画面構成の連発。しかもお約束のパンフォーカスも尋常じゃないほどキリキリにフォーカスが合っているのが最高です。時にはまるで実相寺ショットを予見するかのような異様なショットも出てきて燃えます。時代劇が多く続いていた反動なのでしょうが、時代劇では使えないような照明設計も素晴らしいです。

「観客に媚びた」とかいわれたから、黒澤プロダクションの一回目は思いっきり社会派にしてやろうと意気込んだそうで、全編ダークで切羽詰った暗黒劇が続くのも非常に珍しいです(コッポラが一番好きな黒澤映画らしく、『ゴッドファーザー』にはかなりその影響がうかがえますね)。
といっても、観直すと後半部分にはユーモアもかなりあって、志村喬が断食拷問に屈する場面のユーモラスさはさすが黒澤という感じです。まあ、その明るさもラストのドン引きを際立たせる効果を計算しているのかもしれないですが。

葬式のシーンで、その死んでいる人間(本当は生きてる)にテープレコーダーに録った悪い奴らの会話をかぶせて聞かせるシーンは黒澤の真骨頂とも言うべき計算された演出が炸裂していて好きです。ここでのテープレコーダーで別の音声を別のシーンにかぶせて、別の効果を生み出す手法は『天国と地獄』でも応用されていて更なる見事な効果を生んでいました。