博士の愛した数式
『雨あがる』の小泉監督はすっかり黒澤明の呪縛から解かれて、独自のスタイルを築いていますねえ。
個人的に成田美名子の漫画が大好きなのですが、あの”全員優等生感”と”全員処女と童貞感”な世界観が、こちらの作品にも充満していて大好きです。駄目な人はそこらにかなり拒否反応を起こすかもしれませんが。
そして、数学の先生を演じた吉岡秀隆が驚愕の上手さ。彼自身は好きな役者ではないのですが、その技量たるやもう……。
ボクの好きな役者さんの条件は
1.食べ物を美味しそうに食べる。
2.物まねがしたくなる。
3.立ってるだけでカッコイイ。
などがあるのですが、吉岡秀隆はこの「2」に該当するんですねえ。それぐらいこの作品での数学教師はヤバすぎます。
深津絵里もあの優等生感を嫌味にならないよう丁寧に演じていて実に良い仕事です。ホントいい女優さんですねえ。
ただ、小泉監督は黒澤明の呪縛から解かれたと書きましたが、最後のほうで能が延々挿入されるのは正直閉口しました。あれはなんだか……
でも大好きな映画で、何度も何度も観てしまっています。
画質は『雨あがる』も素晴らしかったですが、今回も非常に緻密で美麗です。音も5.1chでサラウンド感は感じませんが、空気の作り方とか季節の音が細かく入っているようです。