男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

悪魔のいけにえ スペシャル・エディション コンプリートBOX(3枚組) [DVD]

遂に届きました、『悪魔のいけにえ』DVD-BOX。

思えばビーム盤が何気なく発売されて、すぐに廃盤になってから段々とプレミア化が進んでいき(そのビーム盤だって探せばツタヤでもレンタルしていますけどね)、LDがあっという間に駆逐されるにしたがって、日本では『悪魔のいけにえ』のDVDは半ばあきらめられていました。

しかし、アメリカなどでは何度も何度も色んな特典をつけて再販されており、心の中では「いつか出るだろう」という気持ちと、「良く考えたら字幕が必要な映画でもないしなあ」という思いから、カプコンからドキュメンタリーだけ発売されるという異例の事態(悪魔のいけにえ ドキュメンタリーパック「ファミリー・ポートレイト」&「ショッキング・トゥルース」 [DVD])にも、これといった違和感もありませんでした。

恐らく一番プレミア化に拍車をかけたのはワーナーからまさかのハリウッド・プライスで特別編として発売されることが決まったのに、発売直前に中止になった時でしょうね。

そんなこんなで、デックス・エンターテインメントがまさかの権利取得とBOX発売宣言があった時は衝撃が走ったわけですね。

今日この日が来るまで、いつまでも”発売中止”の影は付きまとっていたわけですが、ようやく手元にDVDとしてはこれ以上ない高画質&高音質として到着したわけですね。

・・・

まずは一枚目の本編を5.1chサラウンドで鑑賞。

画質としてはフィルムで観た時の綺麗な違和感よりも、意外に荒々しいブローアップ感を保ったまま高画質化されていて、CICビデオ世代としてもかなりの好印象です。色の発色に関してもHDマスターとして今までとはまったく違う濃厚さで、発電機の赤い色やあの家の二階のヘンテコな色使い、印象深い抜けるような青空など、作品の世界観をよりよく再現しています。もっとも、血のりの嘘臭さが露見しているのはちょっと残念ですが。
有名な窓際で夕陽を浴びて頭を抱えるレザーフェイスのショットが実に見事で、皮の下でキョドるガーナー・ハンセンの芝居が堪能できます。(個人的にはCICビデオ版で味わえる顔面の認識が難しい低画質も捨てがたいんですが)

映画史に残る、クライマックスの藪の中での追っかけシーンでも、夜間撮影による微妙なライティングをキチンと再現しているので、絶技の移動撮影とレンズ・ワークがキチンと堪能できます。しかし、何度見てもフランクリンが懐中電灯を意地でも渡さない場面は「ええから渡せやフランクリン!!」と声が出ますねえ。あれだけ観客の不快感を引き出すフランクリンのキャラクター造詣は見事の一言です。

音声解説はまた明日

・・・

BOXの目玉であり一ヶ月延期の原因ともなったテレビ東京放送版(狂った特典だ!)。

当初延期の原因が本編がテレビ放送版とはいえ第三者の手によるカット版であることに対してのクレームだっただけに、映像は本編ディスクと一緒で音声だけ吹替えなのかと気をもみましたが、キチンと映像もテレビ放送版のマスターにカットされたシーンを同じく放送用マスター(?)から継ぎ足して収録されています。テレビ放送ならではの味があり過ぎる適当なテロップなどが実に良いです。
また、16ミリ撮影による4:3スタンダード・フォーマットによる映像が基本なのですが、いくつかのカットではビスタサイズの左右をトリミングしているモノもありました。CICビデオやその後のビデオ版などと比較してみる必要がありますね。

当然のように勝手にサスペンスフルな音楽挿入されていたりと、かなり楽しめます。レザーフェイスの豚のうめき声のような不気味な声も、日本人の声に吹替えてあったりするのは違和感抜群ですが。しかし、良くあることですが、やたらと豪華なキャスティングではあります。青野武の当然のような傍若無人ぶりはやはり最高です。あれだけ自然にあのキャラを吹替えられる人間は彼以外にいないでしょうねえ。坂口芳貞もいまやモーガン・フリーマンなどでいぶし銀の声をきかせてくれていますが、こちらのコックもかなり違和感無くアテていますね。

それにしても吹替え音声だけテレビ版を使用という粋なことは最近よくありますが、ボーナスディスク丸ごとってのはやっぱりどうかしていますねえ。

・・・

しかしあれですね。トラックに乗り込んだのに
「電気代もバカにならん」
とわざわざ消しに戻る、本編随一の大爆笑ギャグは、普通に見ていたら直前の追っかけが衝撃的過ぎて全然観客が笑える精神状態じゃないのがヤバいです。ああいうところが、フーパーとスピルバーグの決定的な差なんでしょうね。わざわざカメラが移動で寄って下がってまた寄るという手の込みようも含めてかなり笑えるギャグなんですけどね。