男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

鳥 [DVD]

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ヒッチコックの再熱も続いていて、今回はコレ。多分『サイコ』の次に観たヒッチコック映画だと思います。ゴールデン洋画劇場。

前作である『サイコ』が大成功した事を考えて今回続けて観ると、結構意識して作られている事が分かりました。バーナード・ハーマンの音楽の貢献がかなり高かった『サイコ』なので、今回は意識的に音楽を全排除してあるあたりが顕著です。メイキングでも語られていましたが、ヒッチコックは『サイコ』でもシャワー・シーンやクライマックスの”開かれた扉”からの登場シーンでも音楽をつけないつもりだったそうですが、結果的にはバーナード・ハーマンの音楽をつけることで数十倍も効果がアップしていたので、絶対悔しかったんでしょうなあ。今回のティッピ・ヘドレンが屋根裏部屋で襲われるシーンも大襲撃のシーンでの電話ボックスでも、音楽ではなく鳥の鳴き声を電子音として処理した効果で充分盛り上げてます。
逆に音楽まったくかからないので、映画全編に異様な緊張感がみなぎっているのも特徴です。『サイコ』でおなじみであるユーモアを廃したことも考えているようで、本作も前半こそユーモラスなシーンがありますが鳥が人間を襲い始めてからは全く無い。ただただ世界の終わりが静かに進行していくという、実に個人的に好みの作風です。

『サイコ』もそうでしたが、ユニバーサルのドキュメンタリーは非常に充実していて素晴らしいです。本作でも天才マット・ペインターのアルバート・ウィットロック(『遊星からの物体X』も彼)に関するパートが素晴らしい。どれほどこの映画に貢献しているかが良く分かります。この映画の中でも白眉であるガソリン・スタンド爆発から一気に天空からのショット→カモメ軍団襲来の激燃えシークエンスでも、そのマットペイントが恐ろしいほど精確に描かれているかが分かって鳥肌が立ちます。