ロスト・イン・トランスレーション [DVD]
静かな映画
BSフジにて
ビル・マーレーは『ゴーストバスターズ』以来の大ファンですが、最近はウェス・アンダーソン作品などでもあの飄々とした雰囲気が見事に生かされて安定した人気を保っているようですね。
この映画では飄々と言うよりも物静かで人生に疲れた感じがして巧いなあと思います。ソフィア・コッポラの演出も、CM撮影のごちゃごちゃした注文をつけられるシーンで、大暴れしたりするような(アル・パチーノのように)類型的なことをせずに、淡々とシーンを構成していく雰囲気がいいです。
見慣れた新宿のビジュアルも、暖色を極力廃した冷たい映像で新鮮でした。撮影のランス・アコードはソフィア・コッポラの次回作である『マリー・アントワネット』も担当しているので、そちらも楽しみです。
スカーレット・ヨハンソンは知的で繊細でオヤジを虜にしてしまうようなこしゃくな感じも漂わせていて、そりゃあトム・クルーズとはうまくいかねえだろうという感じですね。まあ、ジョシュ・ハートネットだったらどうなんだというのは別ですが。
何度も何気なく観てしまいそうな魅力のある映画です。