ビフォア・サンセット [DVD]

という訳で、続けて続編を観ました。
老けたイーサン･ホークにもすぐに慣れ、リアルタイムで描かれている今回の性質上、すぐに映画の世界に引き込まれました。今回はリアルタイムがボクのツボを突いてくれます。

演出的にはドラマチックなことをしていないのに、二人のすれ違いの人生は本当の９年という時間を経過しているだけに非常に説得力があってドラマチックでした。イーサン･ホークとジュリー・デルビーの二人が参加したという脚本も、より自然に二人のディスカッションを楽しませてくれます。*1

前回は若い二人の物語だったので、お互いに下心を牽制しあいながらの構造が観ていて面白かったのですが、今回は大人になった二人の物語なので、そういう部分が薄れた上でより形而上的な部分が前面に出ていたように感じます。それでも終盤に近づくにつれてお互いが心をはだけて感情を押し隠せなくなるあたりはグっとくるものがありました。そして、歌をせがまれて聞かせるセリーヌの歌が最高に良かったです。

前回同様今回も二人がこの後どうなったのかを観客にゆだねて終わりますが、ここでも一切ドラマチックな演出を廃しているのが非常に印象深い余韻を生んでいます。

ま、一番ビビるのはこの映画が『スクール・オブ・ロック』の直後に作られているということですが。ははは。リンクレーターもどうやって頭切り替えてんだろう。（とかいいつつこの映画の後に今度は『がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]』を作る辺りが笑わせてくれます。いいなあ）

*1:特に良かったのは、結婚式の日にも彼女のことが忘れられなかったイーサン･ホークが、彼女の幻を見たかもしれないと話したところ、当時彼女がそこに住んでいたことを伝えるくだり。Ｎ．Ｙ．に住んでいたという伏線が綺麗に哀しく活かされているのが良かったです。