男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

宇宙戦争 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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ボクは2chをあまり読んだことがなく、たまに何かを調べたり、欲しい商品などがあるとそれのスレッドを追って読むことがある程度です。ただ、流れが速すぎてあっという間についていけなくなって「もういいや」となるのがパターンでした。

最近やっと2chを見るソフトを入れて、何とか興味のあるスレッドだけは一生懸命読もうとしています(それでも次の日になったら過去スレってどうなんだろう…)。

宇宙戦争』のスレッドでも活発なやり取りが行われています。(勿論愚にもつかない書き込みが9割ですが)

中でも劇場に21回観に行っている人などは、もうガッチリとこの映画の醍醐味を掴んでいて、観に行くたびに初見の人の反応(空気)を読み取るという重要なデータを持ち出していて大変共感しました。勿論最初のトライポッド登場シークエンスが終わったときの観客のどよめきが主で、ボクも初日に観たときは少ないながらも観客席が異様な空気に包まれていたのを覚えています(ボクもその一員でしたが)。

>「何・・・これ・・・?」「こんな映画だったの? 聞いてねぇよ・・・」「マジかよ・・・」
みたいなヒソヒソ声が聞こえてきたw。

そうそう。ほんとにこんな感じで、ここにこそスピルバーグがこの映画にこめた明確な「意図」があって、本人もメイキングで言っていましたが
「私は観客の脳裏に焼きついて忘れられない映像を目指している」
という非常に性質の悪いモノなんですね。ここにガツーンと共感できる人間が先ずこの映画を楽しめる人間なんだと思いました。

また、同じ人だと思うのですが、同シークエンスでどれだけ”ありきたりなビジュアルを避けているか”についても言及していて、ここでもかなり共感しました。

”ありきたりのビジュアル”を避けているかどうかは、どれだけありきたりの映像を予測できるかに比例すると思うのですが、スピルバーグはそれを避けることが上記の「意図」の第一歩であることを明確に意識している訳ですよね。この場合の”ありきたりのビジュアル”というのは
”観客がこの手の映画を観るときに予測する既存のビジュアル”と言い換えてもいいと思います。これをスピルバーグはことごとく排除していて、もう映画ファンに挑戦状を叩きつけているとしか思えない。しかも、それがことごとく狙い通りの効果をあげているのだから凄い。そこがこの映画を楽しめる人間が絶賛している部分だと思うのです。
例としてあげられているのが、それこそ典型的な”ありきたりのビジュアル”なのが最高なので引用します。

・トライポッド越しに蟻のように逃げまどう人間を撮った俯瞰ショット
・車や建物を蹴倒して進むトライポッドの脚のインサート・カット
・場合によっては人間を狙うスコープの画面(w
・本部に連絡を取って応援を呼ぶ警官
・物陰に隠れた登場人物の「何だ?あれは」「判らん、とにかく逃げるんだ」的会話
・方々に現れたトライポッド複数を一緒に捉えたロング・ショット
・トライポッド出現方向からの破壊された町並み越しの歩き去るトライポッド

他にも殺人光線が発射されてからは殆どトライポッド自身は画面に映らず、逃げ惑う人たちだけを徹底的に映す演出も取り上げていて唸りました。

映画全体での評価はやはりクライマックスの欠如や、地下室シークエンスのテンションの途切れが気になるのですが、前半1時間10分ぐらいは圧倒的といっていいぐらいの素晴らしさだなあと思います。あくまでスピルバーグの意図が基準なんですが。はははは。

正に身近にこの意図を120%以上体感してなお、
「なんでわざわざこんな恐い思いするのか理解できない」
というごもっとも極まる意見の持ち主が居るだけに、相変わらず「意図」どおりが作品の面白さにどう繋がるか、まだまだ研究の余地がありまそうですねえ。