トロイ
「グラディエーター」景気の時に企画されたであろう史劇モノの一本ですが、以前「アウトブレイク」でリドリー・スコットの本家本元の「ホット・ゾーン」への当て馬として頑張った(結果、本家が頓挫して一本勝ち)ウォルフガング・ペーターゼン監督が、今回も職人芸を駆使して手堅くまとめました。
ペーターゼンはドイツ時代の言わずと知れた傑作「U・ボート」以降、「ネバーエンディング・ストーリー」なんかを撮った後にハリウッドに渡った元祖リュック・ベッソン的な人ですが、彼の場合は物の見事にハリウッドに溶け込んで、次々と職人的に娯楽映画を量産しています。この姿勢は大いに賞賛したいのですが、いつも「多分面白いんだろうけど、あんまり見る気しない…」と思ってしまうのも事実。そのくせ、観てみると「意外と面白い」という作品が多いのも事実です。何とも微妙な監督。
この作品の見所の一つはブラッド・ピットの肉体強化で、実際彼の強化された腕周りや露骨に裸になってアピールするケツなどは実際見事です。しかし、物語上はブラピ扮するアキレスと、トロイ側の英雄ヘクトルとの一騎打ちがクライマックスとなっているので、ヘクトル演じるエリック・バナも負けじと肉体に磨きをかけて対抗していました。エリック・バナは「ハルク」とかありましたけど、「ブラックホーク・ダウン」のスーパー・クールなデルタフォース隊員で気になっていただけに、遂に大舞台に出てきたという感じがして嬉しかったです。
それに反して日本では売りの一つであった、レゴラスことオーランド・ブルームの役回りの損ブリは特筆モノで、あれだけ観客に嫌われるキャラも珍しいし、ソレをある意味見事にモノにしているオーリーは大したもんかもしれません。クライマックスでアキレスに弓撃つシーンがレゴラス・ファンへのサービスショットなのも痛い!
城壁を軸にしたトロイ軍対ギリシア軍(?)の戦いは、途中で「今日は止めだ」という感じの古風な雰囲気で好きでした。矢で砂丘の途中に火を放って、そこへ巨大な毛玉を転げ落として点火するという、意味が良くわからないけど視覚効果絶大な戦術も燃えます。
ただ、CGIによる合戦シーンは「ロード・オブ・ザ・リング」で見飽きてしまっているので、それを超えるような新鮮味のあるショットなどがなかったのがやはりペーターゼン監督らしさなのかも。
もっとも、先に書いたアキレスとヘクトルの一騎打ちは、立ち廻りや細かい技のやり取りなどがかなり燃えました。半月状の盾の使い方や、取り回しが実にカッコイイ。
トロイの戦いについては、「木馬」しか知らない人間でしたので、そういう意味では充分楽しんでみることが出来たといえます。
追記
ボロミアことショーン・ビーンはオデッセウスを演じてまたまた最小限の出演シーンで最大限の美味しい役を持って行ってました。
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