男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ボーン・スプレマシー [DVD]★★★1/2

非常に興奮しました。前作でも「緊張感」と「説明の排除」と言う最近のハリウッド映画には観られないソリッドな作風が非常に好みだったのですが、続編の今作ではそれをもっと推し進めていてしびれました。マット・デイモン扮するジェイソン・ボーンの台詞の少なさときたら!

<以下ネタバレ含みます>


前作の出演者がちょっとしか出番がないにも関わらずキチンと出演している辺りも大変好感が持てて、ヒロインが開始数分で死ぬと言う衝撃的な展開が非常に効果をあげています。しかも、軟弱な映画とは違って、代わりのヒロインが登場する事もなく、主人公のジェイソン・ボーンは足かせが無くなったかのように黙々と行動を進めていくのが素晴らしい。

とにかくこの「黙々と」が重要なポイントで、プロフェッショナル同士の戦いっぽさがとてもよく出ているのです。「ロード・オブ…」でエオメルを演じたカール・アーバンが今度はロシア人を結構違和感なく演じているのですが、こちらの殺し屋ぶりも非常に寡黙で素晴らしいです。

前作でも印象深かった「黙々と殺し合いをする」格闘シークエンスも更に磨きがかかっていて、感情に流されないプロっぽさが最高でした。

ただ、今回は監督が臨場感を大切にした結果なのか、手持ちのグラグラ加減と、余裕のないカッティングが格闘シーンの良さをスポイルしている感覚も受けました。どこかで読んだのですが、あれでは折角特訓した動きも台無しになってしまっています。

それでもクライマックスのカーチェイスは近年稀な凄まじさで、遠慮なく対向車がぶつかってくるのを一緒に乗り込んだカメラ越しに見せつけるのが強烈な緊張感を生み出していました。加えてトンネル内での猛チェイスを繰り広げながらの銃撃戦はかっこよさ爆発で、キチンとアクションのダイナミズムも味あわせてくれたのが嬉しかったです。

ジョン・パウエルの音楽も、ストリングスをまさに刻むように使った非常に緊張感にあふれるもので、すこぶる良かったと思います。何しろ序盤でヒロインがいなくなる映画ですから、全編緊張感だらけという正にボク好みの音楽でした。

ストーリー的には以外にスケールが小さかったり、中盤のカラクリ明かしに何のカタルシスもないという辺りはちょっと残念なところなのですが、こういうソリッドなアクション映画を求めている人間にはこたえられないのではないでしょうか。