ブロンコ・ビリー
イーストウッドの映画の中で一二を争うほど好きな作品です。イーストウッドの陽の部分がたっぷりと堪能できる良い映画だと思います。イーストウッドは最近続けざまに陰な映画を撮っていますが、「スペース・カウボーイ(asin:B00006AFZJ)」みたいなのを唐突に作るのでまだまだ油断できない人です。「ミリオンダラー・ベイビー」がオスカーを受賞した事で、イーストウッドの映画がメディアに出てくるのは素直に嬉しいですね(テレ東なんて「センチメンタル・アドベンチャー [DVD]」を当たり前のように吹き替え版で放送!)。BShiでいきなり「ルーキー [DVD]」を放送したりするあたりもハチャメチャでいいです。「ルーキー」については言いたいことが山ほどあるのですが、都合で録画が出来ず、放送も途中からだったので又の機会に(画質はかなり良かった! 勿論シネスコ!)。
で、
「ブロンコ・ビリー」。ソンドラ・ロックがヒロインのイーストウッド映画。
イーストウッド扮する西部一の早撃ち*1ブロンコ・ビリーは、ワイルド・ウェスト・ショーを巡業しているが回転台磔目隠しナイフ投げの相手になるヒロインが定着しない。そこに結婚初日に相手に逃げられた世をすねた金持ちの娘を拾って巡業につれまわす。喧嘩ばかりの二人だが当然恋が芽生えて…というあらすじです。とにかくワイルド・ウェスト・ショーの面々がみんなブロンコ・ビリーにゾッコンなのが素晴らしく、ありとあらゆるピンチが訪れるたびにブロンコ・ビリーに付いて行き、その無茶にも付き合うのが泣ける。
ブロンコ・ビリーのキャラクターも最高で、子供たちが自分の車を物珍しく見ていると背後から指デッポウでホールドアップさせ、「アメリカの子供は学校に行かなきゃいけない」と諭すが、「今日は土曜日だよ」とばつの悪い展開に…
「よぉしそれじゃ今晩ここでやるワイルド・ウェスト・ショーのチケットをあげるから友達を連れてくるんだ」(山田康雄の声で→今回の放送は原音です。ちなみに)
と、儲からないブリを炸裂。
孤児院へのボランティア巡業も欠かさないイカし過ぎのブロンコ・ビリーですが、実は前科モノでカウボーイでもなんでもない靴のセールスマンだったという設定もホロリで最高。前科というのが、自分の奥さんが親友と浮気したから奥さんを撃ったという衝撃さ。しかも
「奥さんを!? 友達じゃなく?」
「親友だったんだ」(山田康雄の声で)
魂がカウボーイ!!
もう、映画観ている間中ずっと自分もワイルド・ウェスト・ショーの一員になった気分が味わえる素晴らしい映画です。
ハイビジョンでの放送でしたが、粒子の粗さが極度に目立ち、解像度の高さはあってDVDよりは画質が良いのですが、目も醒めるような感じは残念ながらありません。もっとも、観るものを有無を言わせず「イーストウッドの映画を観ている気分」にさせるイーストウッド皺は存分に高画質に刻み込まれています。
*1:これを言い間違えたソンドラ・ロックに激怒するシーンは爆笑。