男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

パルプ・フィクション

パルプ・フィクション [DVD]

7月にはWOWOWで「キル・ビル」特集とあわせて「ジャッキー・ブラウン」もするので楽しみです。

という訳でやっとハイビジョンでの鑑賞が出来ました。日本版のDVDは異様な高画質だったのですが、こちらはフィルムの質感が色濃く残った画質で、かなり印象の異なる感じです。

とはいえディティールの再現は当然こちらのほうが上で、クリストファー・ウォーケンがタメにためて見せびらかすケツの穴に隠した金時計も細部まで確認できます(微妙に擦れちゃってるのが無駄にリアリティ)。

ミラマックスのロゴはオリジナルからしてかなりショボイわけですが、傷だらけなところからもマスターがDVDとは違うようです。

今回の放送では音声が5.1chでないのが非常に悔やまれます。冒頭のパンプキンが机にガン!!とたたき付けるスナブノーズの重低音が無いのは痛い。「金時計」の巻で、ブッチが車から降りて自分のアパートへ向かう際の、住宅街の裏道を通って空き地を突っ切っていく物凄い緊張感は、ブッチの耳に(観客の耳)聴こえては遠ざかる絶妙の生活音のサウンドデザインに拠る所が大きいので、それが半減しているのは残念。それでも充分緊迫するのは背後からのトラッキング・ショットの見事さとシナリオの成せる業でしょうか。

それにしても何度観ても面白い。この映画にはロマンがあふれています。3つの話が文句なしに驚天動地の展開を見せるのがたまりません。大抵の映画作家は二作目に映画の神様が降りてくるようですが、このときもタランティーノには降りてきているような気がしてなりません。

1話目でヘロインの大量吸入で死に掛けた奥さん〜2話目で男にカマを掘られて死にかけた旦那〜マーセルス夫妻がお互いにあまりにも他言無用すぎる秘密を持つエピソードがカップリングされているのも好きです。3話目がそれに全然絡んでないあたりもパルプな感じがしていいんですよね。

タランティーノの全く意味の無い台詞群も強烈で、

ただのシェイクが5ドルもすることをやたらと気にするトラボルタが、辛抱溜まらずユマ・サーマンに頼んで飲ませてもらったときの

「なんてバカ旨なシェイクだ! 5ドルは高すぎるがバカ旨だ!」

はトラボルタ快心の旨そさ芝居と相まって大好きな台詞です。それほど旨いって認めているくせにやっぱり5ドルは高すぎると言い添えるのが最高。