男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

20世紀少年 11―CD付 (小学館プラスワン・コミックシリーズ)

18巻まで一気に再読。

当時浦沢直樹の「水増し連載」(ボクが勝手に呼称しているだけです)に耐えられなくなって、8巻目ぐらいで一度読むのを止めていたのですが、13巻あたりでもう一度最初から読み直し、それからは再び新刊ごとに読んでいました。

ボクは「Yawara! (1) (小学館文庫)」の頃から浦沢直樹の大ファンで、それ以降の作品はほぼリアルタイムで新刊が出るたびに読んでいました。勿論「Monster (1) (ビッグコミックス)」も大好きで、1巻毎に手に汗握っていたものです(特に8巻ISBN:4091836585次の巻が読みたかったもんです)。

そんなボクの浦沢好き心をくじいたのがこの「20世紀少年」だったのです。勿論最初は凄く期待していたのですが、なんと言うか、浦沢直樹の手の内が見えてきたというのか、「モンスター」の終盤ぐらいになると、よく言われているように「引き」の上手さだけで訴求力を強めていて、肝心の中身が空っぽのような感じがしていたのです。個人的には完結した「モンスター」には結局中身が何にも無かったように感じているのですが、実はそういう部分も含めて浦沢直樹の(長崎尚志も含めていいのでしょうね)作風を又好きになってきています。

PLUTO 1 (1) 【豪華版】 ビッグコミックススペシャル」は手塚治虫の原作があるのを差し引いても浦沢節とでもいうタッチが全編を相変わらず貫いており、そこのところが現在の読者にも受け入れられている要因であることは間違いないと思うのです。もうその「引き」の絶妙さは完成に域に達しているとも思えるほどで、筋書きとしては原作がキチンとあるだけに安心できるというのも楽しめている要因の一つかもしれません。

逆に言うと、「20世紀少年」を読んでいて、「モンスター」の何ともいえない肩透かし感が頭をよぎって、「どうせなあ…」と思ってしまうんです。

で、今回18巻一気に読み返してみると、これは「モンスター」を読んでいたボクが「こんな大風呂敷をひろげてくれればいいのになあ」と夢想した通りなんだということに気づきました。多分これが気恥ずかしい事にアレルギー反応を起こして読み続けるのを止めてしまったのだと思います。

勿論これが浦沢直樹の狙いの一つであることは間違いなくて、「モンスター」を読んで過剰な期待を勝手に膨らませるボク(ファンの人たちにも大勢同士が居ると思うのですが)に対して「じゃあ、そういうのをいっちょ描いてやろうじゃないの」という感じなんですね。しかも、それこそただでは終わらなくて、文字通りどうやって収拾をつけるのかさっぱり予測できない大風呂敷ぶり。

まさに掌の孫悟空のような気持ちで、結局随分と楽しんでしまったのです。中でも発売当時11巻の限定版に付録として付いていた主人公のケンヂが唄っている歌が収録された「LOST KENJI TAPES」を聴いたら、これがすっかり虜になってしまうようないい歌で、しかもムカつくことに浦沢直樹自身が唄っているんですよ。まったくホントになんといっていいやら……

まあ、とにかくそろそろクライマックスが近づいている(って随分前から何度もクライマックスを迎えては終わらないんですが)感じの「20世紀少年」。来月出る19巻が今から待ち遠しいです。