男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

燃えよドラゴン ディレクターズカット スペシャル・エディション 〈2枚組〉 [DVD]

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随分買いそびれてましたが、在庫がなくなるのが怖いので購入。

目的は勿論特典ディスクに収録された「A Worrior's Journey」です。

として日本でもソフト化された「死亡遊戯」のロスト・フッテージですが、アメリカではドキュメンタリーのこの作品の中に収録された形です。「G.O.D」が作品として再構成しようとしているのに対して、純粋に残されたフィルムから製作されたであろう完成品を想定して作られています。なので、「G.O.D」の前半に収録されたそっくりさんによるセミ・ドキュメントなどのようなモノはなく、純粋に「死亡的遊戯」のクライマックスが収録されているという感じです。映像的には「G.O.D」と大差はないのですが、怪鳥音のつけ方や(「燃えよドラゴン」からの引用ばかり)静か目の音楽など、サウンドの処理には大きく違いがあります。まあ、クリス・ケントの脱力必至のニセ怪鳥音でないだけでもかなりイメージが違うことはどちらも同じです。

ただ、どちらにも有名なジョン・バリーのテーマ・ミュージックは使われていないのですが、これがあるのとないのとでは作品のイメージが全然違うのが凄いです。やっぱりあれがかかると否でも応でもアドレナリンが沸騰するんですよねえ。

まあ、それはいいとして。

併せて「燃えよドラゴン」も見直したわけですが、こちらと「死亡遊戯」、そして前作「ドラゴンへの道」を観ると、ブルース・リーがユーモアを一生懸命作品に取り入れようとしているのがわかって興味深いです。
「ドラゴンへの道」はブルース・リーが自分のプロダクションを設立して、監督・脚本も手がけた初めての作品で、「死亡遊戯」が完成しなかった結果最初で最後の作品になっています。この作品は前半から中盤にかけてコメディ・タッチで構成されて、香港のカンフー映画にあるような復讐などの暗いイメージを払拭しようとしてるのがかなり感じられるのですが(なのに終盤は突然真っ黒になってしまうのが因果というかなんというか…やっぱり実に香港的)、「死亡遊戯」はもっとそんなブルース・リーの軽いキャラが前面に押し出されているのよく分かるわけです。このオリジナル・フィルムを観ると。恐らくロバート・クローズたちは「死亡遊戯」を完成させようとした際に、この軽い雰囲気のキャラが彼らのブルース・リー像に合致しなかったため、結果あのずたずたな完成品になったんだと思うわけです。
果たして「燃えよドラゴン」でもブルース・リーは表面的には少林寺の思想を重んじるド真面目な達人を演じていますが、要所要所ではキチンとコメディ芝居をしているんですよね。船の上での蟷螂勝負での賭けの場面とか、その後の「闘わずして勝つ流」の場面、地下に潜入してから蛇を無線室に入れるくだりは特にそれが顕著ですね。無線員の二人が外へ逃げ出したのを確認して、いったん外を呆れた感じで見ながら一瞬「間」を作るあたりは完全にコメディの人だなあと感じるわけです。ユーモアがあるといったほうがいいでしょうかね。
スクリーン・テストでの受け答えでもプロモーションという俗な言動の中にも誠意があふれる応対や、やはりユーモアを交える語り口など、ブルース・リーの世間的なイメージ(主にポスターやスチルの気合の入った表情のせいだと思うのですが)とは少し違う、ハリウッドのスターとしての素質を充分に感じさせるんですよね。(ブランドンはあまりなかったように感じるんですが…)
そういう意味で、ブルース・リーが一番活き活きと演じているように見える「死亡遊戯」オリジナル版はぜひ完成させて欲しかったと思いますし、現在の復刻版でもかまわないのでもっと多くの人の目に触れて欲しいなあと思うんです。