男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

地球最後の男/人類SOS!(2in1) [DVD]

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終末映画ということで、始祖とも言うべき「地球最後の男」をやっと観ました。驚くほど原作に忠実に作られていて嬉しかったです。この時代の低予算SF映画独特のムードが全編に漂っていてたまりませんでした。やっぱり終末映画は死滅して時が止まったようになった街がいいですねえ。たまらなくそういう世界観に無責任にあこがれます。

ヴィンセント・プライスの芝居は大仰だとか言われていますが、ボクには凄くこの映画にピッタリの芝居に思えました。人間が孤独になるとあんな感じなんじゃないかなあとかなり説得力があったと思います。

吸血鬼に車を壊されるシーンが好きで、「車を壊せば困ると思ったのだろうか?」という冷静なナレーションに続いて、新品の車をあれこれ選んで乗って帰るシークエンスは、終末映画の楽しさを堪能させてくれました。

中盤の回想シークエンスもこの時代の低予算SFっぽい寒々しさが全開で最高でした。木枯らしの吹く道路や、トラックで死体を回収に来る恐怖や、巨大な穴に次々と死体を入れて償却するナチスの死体処理を連想させる怖さに満ちています。原作でも恐怖感最高の、奥さんの帰還シーンも怖かったです。

哀しいラストも、小説では諦観漂う展開なのですが、映画では賢明に(ただ、やはり諦めたムードで)抗うのが夢に出てきそうな感じで大好きです。シネスコを活かした教会のショットもいいし、「THE END」の出方もよかったです。

噂に違わぬ傑作で、勿論時代相応のテンポが今見ると少しダレますが、これがまたこういう映画独特のムードを作り出しているわけですから欠点ではないと思います。ゾンビ映画をはじめとする終末映画好きにはこたえられない映画だと断言しますね。