オープン・ウォーター★★★1/2
予告編を観たときから気になりまくっていた映画です。
海のど真ん中に取り残されてしまったカップル
という完璧に好みの題材で、低予算映画ですから海で漂流している二人に焦点を当てて描いている部分も最高でした。
この、誰でも想像できる最悪の状況だけで充分満足なのですが、ここを1時間半の映画として成立させるのは結構大変だったと思います。実際陸上のインサート映像が挿入されて、海上に居る二人の孤独感を際立たせるように演出していますが、実際は尺を少し水増ししているのだと思います。ただ、映像が自主制作に近い状態とはいえセンスがいいのでキチンと演出として成立しているのが成功の要因かもしれません。
また、メインであるカップルの二人の芝居が極めてナチュラルで*1。中盤に挿入される口論の場面もすっかり感情移入してしまいます。舞台劇なんかだとここらあたりがメインになるのでしょうが、映画では「大海原に浮かぶ二人」という画の力が圧倒的なので、会話劇に陥ることもなくホントに海に浮かんで、迫り来るサメに怯えるという恐怖に集中しています。
個人的に一番キたのは夜になってしまう場面。
あんな状況でただでさえ発狂しそうなのに、真っ暗闇の恐怖とサメの恐怖のダブル攻撃。それが雷鳴という絶品のストロボ効果*2と相まって恐怖度MAX。
更に一夜明けての耳が痛くなるような静寂の中で迫り来る絶対恐怖の緊張感は半端じゃなかったです。アレは一見の価値あり。
そして、恐怖映画の絶対条件である
救いのない幕切れ!
下手に作為的な起伏を作らなかったリアリスティックなシナリオが功を奏して近年まれな恐怖映画になっていると思います。