男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

お〜い!竜馬

su12004-05-29


ボクはほとんどの知識を漫画や映画や小説などで得ているわけで、学校の授業で習ったことはほとんど知識として残っていません。中でもひどいのが日本史や地理といった<社会>全般はひどい有様で、壊滅的でした。(政治経済だけはやたらと成績が良かったのですが、当然何一つ記憶に残っていない。誇張ではなく何一つです)

それに加えて、元来時代小説や映画や漫画などはあまり好みではなかったようで、なおさら知識として脳に入ってくることが少なかったわけです。

が、池波先生の小説と出会ってから、俄然そういった知識欲がめらめらと燃え始め、

「そういった題材の小説や漫画を読もう!」

となっているわけです。

こういったときはあれですよ。何かとっかかりが重要になります。

で、

「そうだ、小山ゆうの描く漫画なら面白いに決まっている。色んな意味で」(「色んな意味」は小山ファンなら言わずもがなですが、過剰な感情表現=グニャグニャ描写や場違いで笑って良いのかどうかの判断を無意味に読者に強いるギャグなどです)

と、思って前々から気になってきたこれを読み始めました。

まあ、これが大当たりで、面白のなんのって!!

小山ゆうの描く漫画はやめられないとまらない状態になってしまうのですが、この作品でも武田鉄矢の原作なにするものぞ!と言わんばかりに暴走(武田鉄矢自身が文庫のあとがきで書いてます)。

また、やはり坂本龍馬の生き様に惚れますよね。あれは。英雄そのものっていうか。クライマックスの龍馬が全然成長しないのは漫画だからなのかと思っていたら、実際に維新で活躍していたのはたったの5年ほどなんですね。で、死んだのも33歳(今の年齢に直すと32歳)。すごいよ。ほんとに。

おぼろげに知っている「大政奉還」や「薩長連合」とか、やっと意味が分かりましたよ。あと、新撰組がどういう奴らなのかとか。勝海舟が誰なのかも知りました(江守徹が浮かぶのはなんでなんだろう?何かで演じているんでしょうかねえ)。

それにしても、小山ゆうの作劇法とキャラクター造型には目を見張るものがありますね。どいつもこいつも魅力的過ぎ。

小山ゆうは基本的に主人公だけが美形主義なので、ほかのキャラクターの崩しぶりは凄まじくて面白い。誇張しすぎだっつう感じで。しかし、それが異常な感情移入を促す小山マジック。
また、小山キャラはどいつもこいつもいつ死ぬかという不安感がつきまとうのもポイント。ここではボクの無知が大いにそれを助勢し(なんせ、知ってるのは竜馬が暗殺された事だけ)、どいつがいつどれだけ残酷な死に方をするかという、小山作品独特のスリルと快感でページをめくるのももどかしい。

小山ゆうという作家は「無垢な主人公がいやというほど現実の残酷さに身をさらされる」物語を描かせたら天下一品ですが、この作品でも実在の人物坂本龍馬の魅力を小山流に解釈しており、読んでいて強烈に感情移入してしまう。

そして!

例によって例のごとく、グニャグニャになる描写は当然として、一番笑ったのは場違いなギャグね。武市半平太という龍馬の幼馴染が一生懸命勤王の志を力説する場面で、あろうことかよだれがだらだらほとばしり、それを太鼓もちの奴が拭くわ拭うわの大爆笑ぶり。確かにそこは武市君ちょっとやばい思想を感じさせるシーンではある。ただ、なぜそれをそんなギャグ描写であらわすのか。また、龍馬が事を力説するさいにもつばきがとめどなく相手に吹きすさぶ描写があるのですが、その場面でも相手の顔は常に真顔(こっちは爆笑)。口角泡を飛ばすを文字通り活写した凄まじい強調ぶり。ほかにも、小便の飛ばしあいがで勢い余って放屁する龍馬も凄くて、何が凄いってそのときの擬音。普通おならって

ぷ〜

じゃないですか。
ですが、天下の小山ゆうにかかるとここでは

ブッ! ブリッ!!

じ、実弾がでちょるき!!


とまあ、色んな意味でなくても、正真正銘面白い作品で、すっかりとりこです。