座頭市★★★1/2
たけし映画のスタイルが頑なに守られていて(まあ、たけしの映画なんだからそうでなければいけないんだけど)、それでいて座頭市としての面白さ(具体的に云うと身障者ギャグと殺陣)が及第点以上なのはかなり凄いです。
身障者ギャグはさすがたけしという感じで、遠慮なく「めくら」は連発だし、イチイチ「見えないよ」という市のぼやきがお約束。
この映画のキーであるガダルカナル・タカが最高におかしくて、「みんな〜やってるか」よりよっぽど笑えました。
血飛沫のCG処理は少しバレるきらいもあるが、殺陣のテンションを妨げてはいないのでOK。
肝心の殺陣に関しては文字通り切れ味抜群で、「ピンポン」でも言及した
「インパクトの瞬間をとばす」
かっこよさが連発で満足でした。切ったと思った瞬間には鞘に収めるショットに繋げたりなど等。
血脂で滑って刀が手から離れたり、鞘を使った擬似二刀流まがいのクライマックスは燃えます。
中でも白眉は博打場での大暴れ。観てみたかった「切られる側だけ」の畳かけが最高でした。座頭市を一切写さずに切られるチンピラやろうそくや天井に突き立つ刀(オマージュ!!)などをリズムで刻むあの件は傑作でした。
鈴木慶一の音楽も浮きだつ一歩手前の感じで、この映画の「燃え」に貢献していて聴かせます。
やたらと回想が入ったり、シーンが前後する構成や、見せ場である「天気雨の中の戦い」がいきなり回想だったり、肝心なシーンがない(説明シーンが嫌いなのは分かるが)と、相変わらず既製外なつくりなのも実にたけしらしかったと思います。(成功しているかは半々ですが)
ただ、中盤での踊りの練習は長すぎるぞ。
メイキングでお約束のように云われる「驚愕のラスト」も、ある意味かなり驚愕します。
とにかく見終わった後すぐに「もう一回みたい」思わせてくれたので、大満足でした。