男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ないしょないしょ―【剣客商売番外編】

泣いた。

感想などで便宜上「泣いた」とかはよく使うが、実際には滅多なことでは泣かない。なのに、読み終わった瞬間ボロボロと涙が出てしまった。

池波先生風に云えば

「眼に熱いものがこみ上げてきた」

この番外編は剣客商売シリーズを全部読んだ人間に対するご褒美のような素晴らしさと、独立した一つの話としての素晴らしさを両立させた、まさに池波先生ならではの傑作。

親に死なれて天涯孤独の身になり、奉公に出されている主人公「お福」の成長譚。

「お福」が剣客商売時代のちょっと前の時代に生きている感覚は、シリーズの読者にすると最高のご褒美だし、「お福」の純真無垢な性格や周りの人間たちの描き方などから、池波先生の人間に対する並々ならない観察力と愛が感じられる。

解説によると晩年に集中して「女性」を主人公に据えた作品を何本も書かれているそうで、この作品もその一本と言う位置づけとみなしてもいいそうだ。

他の「女性」を主人公にした作品も読んでみたいと思わせる。

とにかくもうジーンとして仕方がない。
(「おお、なんという感動的なクラクション」クラス)