男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『大列車強盗』★★★

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ジェフリー・アンスワースのカメラが美しい

先日Twitterで『コーマ』をよりにもよって年末に見てしまったという話題が上り、映画監督としてのマイクル・クライトンの事をつらつらと考えていました。

まだビデオも持っていない本当に映画を観始めた初期の頃、『ウエストワールド』とこの『大列車強盗』は大変印象深くて面白かった記憶があります。特に『ウエストワールド』は妹の心にもトラウマを植えつけているようで、本編のクライマックスを「あれは忘れられへん」と言っていました。ボクは『大列車強盗』も金庫の鍵を4つ集める過程をじっくり描くあたりにしびれていまして、今でも個人的に大好きな「ダンドリ映画」の原点がこの作品かもしれません。(他に『太陽を盗んだ男』)

特に駅舎の中にある鍵の型を採るために、ドナルド・サザーランドが部屋の中で一生懸命シミュレーションする姿は印象に残っており、今回観直してやはり最高にサスペンスフルでユーモラスなシーンでした。原作もクライトンなのですが、ホントああいうところが巧い。

クライマックスの列車の屋根を渡るショーン・コネリーのスタントシーンが、いま見ても(今だからこそ)度肝抜かれるほど「ギリギリ感」満点で、本当に頭の横すれすれを何度も石の陸橋が轟音と共に通りすぎていくあたりは「危ない!」と声が出ました。あれホントすごいな。

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ショーン・コネリーの相変わらず「腹の中が読めない」キャラクターは絶品で、唯一無二の魅力をムンムンに漂わせています。コネリーの映画を観ると、やたらと他にも彼の映画が観たくなる。
ドナルド・サザーランドも実質的な実行部隊として大活躍するキャラクターを熱演。指をポキポキと鳴らす仕草は子供心に何度も真似したもんです。

この映画が遺作になったジェフリー・アンスワースのカメラが『スーパーマン』に続いて、「必要以上に」映画の格をあげています。得意の紗のかかったフィルター処理で映しださられるイギリスの田園風景や19世紀の風俗が上品に切り取られています。

ジェリー・ゴールドスミスの音楽も軽妙洒脱で、やはりこの映画の格を上げている。ロマンあふれるメロディーラインはニヤニヤしてしまう。

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WOWOWでのマイクル・クライトン特集で放送されたものを録画してあったのですが、ハイビジョンのクオリティはなかなか頑張っており、撮影の美しさがじっくりと味わえます。サウンドもまさかの5.1chになっていましたし。

マイクル・クライトンは劇場映画をそんなに監督してはおらず、小説家の副職のようなイメージがありますが、どの作品も独特の雰囲気とアイデアが盛り込まれていて脅かされます。演出自体はオーソドックスなんですけどね。