『刑事ジョン・ブック目撃者』★★★
出張刑事モノの代表作
ザ・シネマHDにて。
ハイビジョン放送だがクオリティはまあまあ。それでもジョン・シールによる美しい撮影によるアーミッシュの牧歌的な風景は堪能できます。
ゴールデン洋画劇場で観て以来の再見。調べたら1987年放送みたいだから24年ぶりか。
ルーカル・ハースが殺人を目撃するシーンで、自分がいた個室が開けられる直前に隣の個室に逃げ込む機転をよく覚えています。頭のいい子なんだなと。ただ、子どもが目撃者なのに、ハリソン・フォードと心を通わせるシーンは特になく、ストーリーとしてはケリー・マクギリス演じる母親レイチェルとのハーレクイン的なロマンスがメイン。個人的にはもうちょっと子どもも絡ませるべきではないかと思う。
刑事が管轄外の場所で活躍するプロットを勝手に『出張刑事モノ』と呼んでいるのですが、この作品ではアーミッシュという特殊な場所を舞台にしているのが魅力的。電気などの現代的なものを拒み、自給自足によって生活するコミニュティは、ちょっとした「異文化」としてうまく作品の中で機能しているんじゃないでしょうか。何にしても『刑事ジョン・ブック』と言えばアーミッシュ。アーミッシュと言えば『刑事ジョン・ブック』というぐらい密接な印象ですからね。
ちなみに他に大好きな『出張刑事モノ』は『ビバリーヒルズ・コップ』と『ブラック・レイン』と『フレンチ・コネクション2』です。他にもいっぱりありますけど。
事件を報告したらしい掃除夫の黒人が、ジェームズ・アール・ジョーンズに似てるなと思ったら、お父さんのロバート・アール・ジョーンズという人で、『スティング』でルーサーをやっていた人でした。『スティング』を観た時は特にジェームズ・アール・ジョーンズに似てるとは思わなかったんだけど、声がまんま同じだもんな。
モーリス・ジャールの音楽はアーミッシュという異文化の世界にやってきた雰囲気をよく出していますが、サスペンスシーンは正直類型的で薄っぺらい。でも、他はいい音楽でした。
オーストラリアの監督ピーター・ウィアーはハリウッド進出第一弾ということで、一緒に連れてきた撮影のジョン・シールと共にいい作品をモノにしたのではないでしょうか。特にジョン・シールの撮影は望遠を使った映像や、自然光を多用した(アーミッシュが電気を使わないので)照明などで魅力的な映像を作っています。
ハリソン・フォードがかなり魅力的で、基本的にいつもの省エネ芝居をしているだけなんですが画面に居るとすごく華がある。特に昔取った杵柄とばかりに大工仕事を手伝うシーンの身のこなしや道具の使い方などすごくいい。まあ、刑事のくせに「むかしちょっと」っていうセリフだけで大工仕事が上手ってのは笑っちゃいましたけどね。
そして、ラストのセリフを極力配した別れの演出は素敵です。おかげで「イギリス人にきをつけろ」というセリフが際立つし、アレギザンダー・ゴドノフ扮する村人との別れも実にスマートになっています。ああ、あいつと三角関係にならないのも良かった。そういうベタなのは要らない。
チョイ役でヴィゴ・モーテンセン(アラゴルン)が出ているのも確認。村人の一人で2シーン登場しています。若いけどすぐに分かります。
それにしても、『Witness』なんつうつまらないタイトルに、『刑事ジョン・ブック』ってつけた配給会社は凄い。すごく印象深いもんなあ。